
ワン
ゆっけさん、「動物園の獣医さんになりたい」って憧れてたんですけど、お給料ってどれくらいなんですか?

ゆっけ
目安は400〜500万円と言われます。なれるかどうかで言えば、なれます。ただし求人は数年に一度、倍率は数十倍——長い目で準備していく進路です。
夢がある進路です。
だからこそ、「現実」も知らずに飛び込むと後悔しやすい分野でもあります。
なお、私自身は動物園・水族館で働いた経験はありません。
調べた情報や業界で見聞きした話をもとに、いいところも厳しいところもフラットに整理しますね。
読み終えるころには、憧れと現実の両方を知ったうえで、自分の進み方を決められるようになっているはずです。
📌 この記事の結論
- 仕事は予防・健康管理・繁殖・教育が中心(診療は一部)
- なり方は3パターン(公立・指定管理財団・民間)
- 求人が極めて少ない狭き門(水族館はさらに)
- 年収の目安は400〜500万円。ただし公立なら公務員の給料表で上がっていく
結論:憧れの裏にある「狭き門」。でも道はある
最初に、いちばん大事な現実からお伝えします。
動物園・水族館の獣医師は、獣医師の進路のなかでも特に「狭き門」です。
ひとつの施設にいる獣医師は1〜数人。
退職や異動で空きが出ない限り募集は出ません。
だから、求人そのものが数年に一度ということも珍しくありません。
水族館(海獣医師)は、施設の数そのものが少ないぶん、席はさらに限られます。
夢を目指す気持ちは、大切にしてほしい。
そのうえで「いつでも入れる仕事ではない」という前提を持ってください。
長い目で準備していく分野です。
年収の目安:400〜500万円。獣医師全体の平均より低めです
この記事を開いた方の多くが、まずここを知りたいはずなので先に書きます。
動物園・水族館の獣医師の年収は、目安400〜500万円です。
獣医師全体の平均は約680万円です(厚生労働省 job tag・平均年齢38.7歳)。
つまり、平均より低めの水準ということになります。
ただし、運営しているのが誰かで事情がかなり変わります。
見落とされがちなのが、公立です
公立の動物園・水族館で働く獣医師は、その自治体の地方公務員です。
給与は園の売上ではなく、自治体の給料表で決まります。
ここは私自身の経験がある部分なので、実額で書きます。
私が新卒で地方公務員の獣医師になったとき、1年目の年収は約450万円でした。
そして地方公務員獣医師の平均年収は約633万円です(地方公務員給与実態調査をもとにした集計)。

ワン
じゃあ「400〜500万円」って、ずっとその金額ってわけじゃないんですね。

ゆっけ
公立ルートなら、そうです。入口は低めでも、年功で上がっていきます。400〜500万円は、どちらかというと入口の数字だと思ってください。
公務員獣医師の給与のしくみは、こちらに詳しく書きました。
それでも、お金を優先するなら別の道があります
小動物臨床で経験を積んで開業、企業に移る——そうした道に比べると、お金の面で高待遇とは言えません。
それでもこの道を選ぶ人は、「希少種を守りたい」「この動物に関わりたい」という強い動機で来ています。
お金より使命感で成り立っている世界——そう話す人が多いです。
他の分野がいくらなのかを知っておくと、この金額の意味が分かります(獣医師の年収はいくら?)。年収を軸に進路を考えるなら、年収は業界で決まるもあわせてどうぞ。
仕事内容:診療は一部。むしろ「予防」と「群れの管理」

ワン
ゆっけさん、動物園の獣医師って、ケガや病気の動物を治すのがメインなんですか?

ゆっけ
それがイメージとは少し違って、「治療」よりも「予防」と「健康管理」が中心です。
野生動物は、体調が悪くても本能で隠してしまいます。
だから、異変に早く気づくことがなにより大事になります。
大きな特徴がひとつあります。
獣医師は「チームの一員」で、毎日いちばん近くで動物を見ているのは飼育員さんだということ。
飼育員さんから情報をもらいながら判断するので、コミュニケーション力がそのまま効いてきます。
しかも、相手は犬猫だけではありません。
哺乳類・鳥類・爬虫類・魚類・海獣まで、種類ごとに体のつくりも薬の効き方も違う。
「広く深く」学び続ける覚悟が要る世界です。
1日の流れ(動物園の一例)
華やかに見えますが、屋外作業が多く体力勝負です。
暑い日も寒い日も、動物の世話は続きます。
大型動物の処置には危険も伴い、夜間に容体が急変すれば呼び出されることもあります。
「動物が好き」だけでは続かない、地道さが要る仕事——これはどの分野の獣医師にも共通する部分かもしれません。
なり方は大きく3パターン

ワン
ゆっけさん、動物園の獣医師って、どうやったらなれるんですか?試験とかあるんですか?

ゆっけ
意外と知られていませんが、「その施設を誰が運営しているか」でなり方が変わるんです。
大きく3パターンあります。

動物園・水族館の獣医師になる3つのルート
注意したいのが、①の公立です。
公務員試験に受かっても、必ず動物園に行けるわけではありません。

動物園・水族館への矢印だけが、細いままです
獣医職として採用されると、保健所や動物愛護センターなど別の部署に配属される可能性のほうが高いんです。
「動物園で働きたくて公務員になったのに、一度も配属されなかった」——これは実際によく聞く話です。

ゆっけ
これは私自身も実感があって、新卒で公務員獣医師になったとき、配属希望が通らなかった経験があるんです。
公務員は「どこに配属されるか」を自分で選びにくい働き方です。
動物園を目指して公務員になるなら、この配属ガチャの現実を知っておいてほしいです。
公務員ルートの全体像(種類・試験・年収)はこちらで詳しく解説しています
理由:なぜ「狭き門」なのか
人気だから辞める人が少ない。
だから、ますます空きが出ない——という構図です。
だからこそ、「タイミングを逃さない準備」と「長期戦の覚悟」が要ります。
募集が出た瞬間にすぐ動けるよう、ふだんから情報を追いかけておくことが大切です。
学生・若手のうちにできる準備
席が空くのを待つ世界だからこそ、「いつ募集が出ても勝負できる自分」を作っておくのが大事です。
なかでも効くのが、現場とのつながりです。
実習やボランティアで顔を知ってもらっておくと、「今度こういう募集が出るよ」と早めに教えてもらえることもあるそう。
遠回りに見えても、地道に近づいていくのが結局いちばんの近道なのかもしれません。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 希少種の保全・命をつなぐ仕事に使命感を持てる | 何より年収・待遇を優先したい |
| 幅広い動物種を学び続けるのが苦にならない | 一つの専門を深く極めたい |
| チーム(飼育員)と協力するのが好き | 一人で完結する仕事が好き |
| 体力勝負・屋外作業を受け入れられる | 室内で安定した環境で働きたい |
| 募集が出るまで長く待てる粘り強さがある | すぐに転職先を決めたい |
向き不向きは、才能ではなく「優先順位のフィット」です。
お金や安定をいちばんに置くなら、別の進路のほうが幸せなこともあります。
逆に「この動物に関わるためなら遠回りも待つ時間も惜しくない」と思えるなら、これ以上ない天職になるはずです。
まとめ:夢を「現実的な戦略」に変える
最後に、もう一度結論です。
- 仕事は診療よりも予防・健康管理・繁殖・教育が中心
- なり方は①公立(公務員試験)②指定管理・財団 ③民間の3パターン
- 公務員ルートは動物園に配属されるとは限らない点に注意
- 求人が極めて少なく、倍率は数十倍。水族館はさらに少ない
- 年収の目安は400〜500万円。公立ルートは公務員なので年功で上がる
- だからこそ実習・人脈・臨床経験・情報収集で長期戦の準備を

ワン
憧れだけじゃなくて、ちゃんと戦略がいるんですね。でも、目指す価値はありそうです。

ゆっけ
そのとおり、「憧れ」を「現実的な戦略」に変えられた人が、この限られた席にたどり着くんです。
今すぐ難しくても、あきらめる必要はありません。
まずは臨床や公務員で経験を積みながらチャンスを待つ——そんな遠回りルートも立派な戦略です。
あなたのペースで、夢に近づいていってください🐾






