
ゆっけ
こんにちは、ゆっけです。
私は新卒で地方公務員(保健所)になり、その後、産業動物臨床を経て、再び地方公務員(家畜保健衛生所)に戻ったキャリアを歩んできました。 今回は、地方公務員獣医師として働いていた頃に「辞めたくなった瞬間」を厳選5つにまとめます。

ワン
ゆっけさん、地方公務員獣医師って「楽そう」「安定してそう」というイメージが強いですよね。実際どうなんですか?

ゆっけ
そう、それが世間のイメージなんだよね。でも、実際に働いてみると、辞めたくなる瞬間があります。 動物病院あるある、産業動物あるあるの地方公務員バージョン、という感覚で読んでもらえたら。同業の人には「わかる…」と頷いてもらえるはずです。
この記事でわかること
- 地方公務員獣医師が「辞めたくなる瞬間」のリアル
- 保健所・家畜保健衛生所勤務時代のゆっけ自身の体験
- 「公務員=楽」のイメージとのギャップ
- 地方公務員以外のキャリア選択肢
あるある①:頑張ってもほかの公務員と給与があまり変わらない
地方公務員の給与は完全に給料表で決まるのが特徴。つまり、どんなに頑張っても、どんなに残業しても、同じ年次の他の公務員獣医師と給与はほぼ変わりません。
一応人事評価制度というものが存在しますが、正直なところ、評価が良ければ、給与とボーナスが微増するくらいです。数百万円単位で給与が増えるわけではありません。

ゆっけ
そして問題なのは——評価が高い人ほど本庁勤務になるということ。 「あいつは仕事できるから、本庁にお願いしよう」という配属方針が、当たり前のように行われます。
本庁勤務は、予算編成期、議会対応、災害対応、感染症発生時の対応——次から次へと業務が降ってきて、夜遅くまで残業するのが日常です。
そして、ここに地方公務員獣医師の構造的な問題があります。
優秀な人ほど本庁勤務になり、それが嫌で辞めてしまう人も多い。 優秀な人は他の仕事に転職していき、結果として公務員獣医師は変わった人が多くなりがち——という構図ができあがります。 真面目に働く人がバカを見る——これが、地方公務員獣医師の辞めたくなる瞬間です。
あるある②:異動の希望が通らない
地方公務員は数年ごとに異動があります。本人の希望を「異動希望調書」に書いて提出するんですが——

ゆっけ
希望は、ほぼ通りません。 県内とはいえ、家族の事情を書いても、平然と遠方の出先機関に異動になることもあります。通勤2時間コースになる人も珍しくない。
そして、もうひとつ重要な構造があります。
入庁時に「家畜保健衛生所で働きたい」と思っても、保健所に配属されることがあります。農政部と公衆衛生部の異動はほぼないため、最初に配属された部署で公務員生活を過ごすことになります。

ゆっけ
私も最初は家畜保健衛生所が良かったんですが、保健所に配属されました。異動の希望を出しましたが、希望は通ることはなく、結果的にすぐに退職する決断をしました。 「配属ガチャ」と言ってもいいくらい、最初の配属で公務員人生が大きく変わります。
あるある③:年功序列で給与が決まる
地方公務員の給与体系は完全な年功序列。基本給は勤続年数で自動的に上がっていきます。

ゆっけ
若手のうちはこの仕組みのメリットを感じにくいですが、現場で働いていると—— 明らかに仕事をしていないおじさん・おばさん獣医師の方が、自分より給与が高いという現実に直面します。
これがじわじわとモチベーションを削っていきます。
頑張っても評価されない、頑張らなくても給与は上がる——この構造が、優秀な若手が公務員を辞める原因のひとつだと、私は感じています。
あるある④:意味不明な電話が来る
地方公務員獣医師の業務には、住民対応が含まれます。これがまた、地味に精神を削られる。
たとえば、こんな電話がかかってきます。
- 隣のおばあちゃんが猫に餌をあげて、大量に繁殖させている
- 動物病院で犬を見てもらったが、死んでしまった。何かの医療ミスがあるのでは
- 税金で食ってる癖に
- 家畜の糞尿が臭い

ゆっけ
正直、こちらでは対応できないような電話が多いです。 「民民で解決してください」と言いたいところですが、それを直接言うと怒るので、話を聞きつつ、どうやって電話を穏便に切ろうか——と考えながら対応することになります。
1時間以上電話を切ってくれない人、明らかに精神的に不安定な人、暇で仕方ない人——こうした対応を、業務の合間にしなければいけません。

ゆっけ
そして、そういう人に限って、定期的に事務所に電話してきます(笑)。 「今日はあの人の日か…」と、電話番号を見ただけで疲れる瞬間。これも地方公務員獣医師あるあるです。
あるある⑤:完全なるルーティンワークで、仕事に飽きが来る
地方公務員獣医師の業務は、年間スケジュールがほぼ決まっているルーティンワークです。
毎年、ほぼ同じ時期に、ほぼ同じ業務が回ってくる——4月にやることも、夏にやることも、年末にやることも、ほぼ毎年コピー&ペーストのように繰り返されます。

ゆっけ
3年目くらいまでは「学ぶことが多くて新鮮」と感じられますが、5年目を超えた頃から、強烈な「飽き」が来るのが地方公務員獣医師あるあるです。
「今年も同じことをやるのか…」「自分は成長しているのか?」という疑問が頭をよぎります。
刺激を求める人、新しいことに挑戦したい人にとって、このルーティンの繰り返しは精神的にじわじわキツくなります。 逆に「ルーティンが安心」という人には天国の職場なので、ここは性格との相性が大きい部分です。
地方公務員あるあるは「組織の構造的な問題」でもある

ゆっけ
ここまで5つのあるあるを紹介してきましたが、共通点があります。 個人の頑張りでは解決しにくい、組織全体の構造的な問題だということ。
- 給与が頑張っても変わらない → 公務員の給料表制度の問題
- 異動の希望が通らない → 組織人事の都合優先の問題
- 年功序列で働かない人の方が高給 → 完全年功序列制度の問題
- 意味不明な電話対応 → 行政の住民対応窓口としての宿命
- ルーティンの繰り返し → 年間業務サイクルの固定化の問題

ゆっけ
ただ、これは地方公務員獣医師に限った話ではありません。どの職場にも、辞めたくなる瞬間はあります。動物病院でも、産業動物臨床でも、企業でも——必ず何かしらのしんどさはついてくるものです。 大事なのは、「自分にとって、どの職場が一番合っているのか」を探すこと。 せっかく獣医師になったのだから、自分に合う職場を探す旅をしてみるのも、いいんじゃないでしょうか。
もし地方公務員獣医師が辛いなら、これも選択肢のひとつ

ゆっけ
私自身、地方公務員獣医師を経験したあとに産業動物臨床に転職し、また地方公務員に戻り、今は別の畜産関係の仕事をしています。 獣医師としてのキャリアは地方公務員だけじゃない——これは強く伝えたいことです。
特に、地方公務員獣医師のしんどさを感じている方には、以下のような選択肢があります。
- 小動物臨床 → 完全成果型の世界。頑張った分だけ給与に反映されやすい
- 産業動物臨床 → 現場の手応えがある。動物と直接関わりたい人向け
- 製薬会社・畜産関連企業 → 完全土日休み・年収アップしやすい・新しい挑戦が多い
▶ 製薬企業で働く獣医師のキャリア|やりがい・年収・職種を同期に聞いた ▶ ブロイラー会社で働く管理獣医師のキャリア|業界の構造・年収・転勤事情
「地方公務員獣医師しか道がない」と思い詰める前に、ぜひ他の選択肢も知ってみてください。




