
ワン
ゆっけさん、今の仕事を「辞めたい」って気持ちはあるんですけど、辞めていいのか、甘えなのか分からなくて…。

ゆっけ
その迷い、すごく大事です、「辞めたい」と感じること自体は、甘えでも弱さでもありません。
ただ、勢いで辞めると後悔することもあります。
私は公務員や産業動物臨床など、職場をいろいろ変えてきました。
辞める判断をしてよかったことも、もう少し考えればよかったことも、両方あります。
その経験から言える「決め方」をお伝えします。
読み終えるころには、「辞める・続ける」を自分の言葉で判断できるようになっているはずです。
📌 この記事の結論
- 心身の限界サインが出ているなら、判断を待たず逃げる
- 辞めたい理由を書き出して仕分け(経験不足か/環境が原因か)
- 多くの悩みは職場や働き方を変えれば解決する
- 「辞める=獣医師を辞める」じゃない、選択肢は広い
大前提:「辞めたい」と感じるのは自然なこと
獣医師は、体力・精神・責任のどれもが重い仕事です。
「辞めたい」と一度も思わずに働き続ける人のほうが少数派。
だからまず、自分を責めないでください。
そのうえで、「辞めたい」には2種類あります。
順番に見ていきましょう。
実際、「今の仕事を辞めて別の仕事に変わりたい」と答えた人は、全国で1023万人います。
そのうち、実際に転職した人は330万人。3人に1人です。
辞めたいと思いながら働き続けている人のほうが、ずっと多い。だから、いま迷っていること自体は、おかしなことではありません。
出典:総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2025年平均
その職場を選んだのは、自分です
厳しく聞こえるかもしれませんが、ここを先に置かせてください。
両学長のYouTube動画に、こういう考え方が出てきます。
あなたは、人材派遣会社の社長です。
ただし、派遣できる人材はひとりだけ。自分自身です。
いまの職場は、社長であるあなたが「ここに自分を派遣する」と決めた取引先にすぎません。
この見方に変えると、景色が変わります。
- 「この病院は給料が安い」——そこに自分を派遣しているのは、自分
- 「当直がきつい」——その職場を選んだのも、自分
- 「院長と合わない」——そこに居続けると決めているのも、自分

ワン
……ちょっと、きびしくないですか?

ゆっけ
冷たく聞こえますよね。でもこれは自分を責めるための考え方ではありません。逆です。
人生の主導権を、自分の手に戻すための考え方です。
「上司が悪い」「業界が悪い」で止まっていると、変えられるものが何もありません。
でも「派遣先を決めているのは自分だ」と考えた瞬間に、自分で動かせるものに変わります。
もちろん、なんでも自分のせいにする必要はありません。体や心が限界なら、まず逃げてください。
ただ、冷静に考えられる状態であれば——不満を言う相手は、上司ではなく自分かもしれません。
理由:なぜ「勢い」でなく「基準」で決めるのか
理由は、「辞めたい理由」の多くは、職場や働き方を変えれば解決するものだから。
- 勢いで辞めると、「時間で解決する悩み」まで手放して後悔しやすい
- 逆に、危険サインが出ているのに我慢し続けると、心身を壊してしまう
- だから「今すぐ逃げるべきか/冷静に仕分けるべきか」を、順番に判断する
この2ステップが、後悔しない決め方です。
具体例:後悔しない「決め方」のステップ
ステップ①:まず「今すぐ逃げるべき危険サイン」をチェック

ワン
ゆっけさん、まずは何をチェックすればいいですか?

ゆっけ
次のサインが出ているなら、判断を待たずに、まず自分を守ることを最優先してください。

ゆっけ
これらは「頑張って乗り越える」段階を超えているので、休職・退職・専門家への相談をためらわないでください。
健康を失ってからでは、取り返しがつきません。
これは判断基準というより、安全のラインです。
「もう限界かもしれない」と感じているなら、判断より先に、無料・匿名で話せる窓口があります。ひとりで抱えないでください ▶ 今つらい獣医師へ|「もう限界かも」と思ったら読む
危険サインが当てはまらない場合は、ここから「冷静な判断」のステップに進みます。
ステップ②:「辞めたい理由」を紙に書き出して仕分ける
頭の中だけで考えると、感情がぐるぐるして判断できません。
まず、辞めたい理由を全部、紙やスマホに書き出してください。
書き出したら、それぞれを次の2つに仕分けます。
| タイプ | 例 | 基本方針 |
|---|---|---|
| ⏳ 時間で解決する/経験不足 | 手技に自信がない・知識が追いつかない・最初の数ヶ月のしんどさ | 続けることで解決する可能性 |
| 🏢 環境や構造が原因 | 拘束時間が長すぎる・人間関係・給与が低すぎる・院長の方針が合わない | 環境を変えるほうが解決しやすい |
ポイントは、「その悩みは、今の職場で時間が解決するのか?」と問うこと。
経験を積めば消える悩みなら、もう少し踏ん張る価値があります。
逆に、職場の構造そのものが原因なら、何年いても解決しないことが多いです。
よくある「辞めたい理由」別の見極め
こうして並べてみると、気づくことがあります。
「辞めたい理由」の多くは、獣医師そのものを辞めなくても、職場や働き方を変えれば解決するんです。
ここに当てはまるなら、職場を変えていい
仕分けをしても決めきれないときのために、もうひとつ基準を置いておきます。
両学長の動画では、職場の変え時として3つが挙げられていました。これを獣医師の現場に置き換えると、こうなります。
| 変え時 | 獣医師だと、こういう状態 |
|---|---|
| ① 組織が腐っている | 残業代が出ない。院長や先輩のハラスメントが黙認されている。飼い主さんに不誠実な説明をしている |
| ② 尊敬できる人がいない | 教えてくれる先輩がいない。院長のやり方から学ぶものがない |
| ③ 成果が認められない | 症例をこなしても、当直を増やしても、給与も評価も変わらない |
②は、見落とされがちです
①と③は、わりとすぐ気づきます。でも②は、不満として言葉になりにくい。
「給料は普通。残業もそこまで。でも、なんとなく伸びている気がしない」
この状態の正体が、②であることが多いです。
世界的な投資家のウォーレン・バフェットは、職場選びで尊敬できる人の下で働きなさいと言っています。
理由はシンプルで、いい仕事を間近で見られるからです。
獣医師の仕事は、本を読んだだけでは身につきません。手技も、飼い主さんへの説明も、見て、真似て、覚えます。

ゆっけ
私がNOSAI時代にいちばん伸びたのは、隣に「この人みたいになりたい」と思える先生がいたからでした。
だから、こう考えてみてください。
いまの職場に、追いかけたい人はいますか。
いないなら、それは十分に職場を変える理由になります。我慢して続けても、伸びしろのほうが先に尽きます。
「辞める」=「獣医師を辞める」ではない

ワン
ゆっけさん、「もう獣医師を辞めるしかない」って思ってる人もいると思うんですけど…。

ゆっけ
ここが一番伝えたいところ——「今の職場が辛い」と「獣医師に向いていない」は、まったく別の話です。
獣医師の働き方は、小動物臨床だけではありません。
「この職場しかない」と思い詰めると、視野が狭くなります。
でも実際は、獣医師免許があれば、道はいくらでもあります。
辞める前に必ずやるべき3つのこと
辞める判断を下しても、いきなり退職届を出すのは危険。
次の3つを必ずやっておきましょう。
- ① 在職中に情報収集を始める:辞めてから動くと、焦りで判断を誤りがち。在職中に求人や他職種の情報を集めておくと、冷静に比較できます。
- ② 「辞めたい理由」が次でも起きないか確認する:書き出した理由を、転職先で繰り返さないか。ここを確認しないと、同じ不満で何度も転職することになります。
- ③ 一人で抱えず、第三者に相談する:家族・同期・転職エージェントなど、外の視点を入れると思い込みに気づけます。特にエージェントは「他の職場のリアル」を持っているので、判断材料になります。

ゆっけ
私自身、「一人で抱え込んで決めた」転職は、後悔することが多かったです。
逆に、人に相談して整理してから決めた選択は、振り返っても納得感があります。
まとめ:勢いでなく、基準で決める
- 心身の限界サインが出ているなら、判断を待たず自分を守る
- 辞めたい理由を書き出して仕分ける(経験不足か/環境が原因か)
- 決めきれないときは、組織が腐っている/尊敬できる人がいない/成果が認められないに当てはまるかを見る
- その職場を選んだのは自分。不満を言う相手は、上司ではなく自分かもしれない
- 多くの悩みは職場や働き方を変えれば解決する
- 「辞める=獣医師を辞める」ではない。選択肢は広い
- 辞める前に在職中の情報収集を始める

ゆっけ
「辞めたい」という気持ちは今の働き方を見直すサインなので、勢いで動くのでも我慢し続けるのでもなく、自分の基準で決めていきましょう。
辞めると決めたら、次は「角を立てない辞め方」です。

※ 「自分は人材派遣会社の社長である」という考え方と、職場の変え時3つは、両学長のYouTube動画を参考に、獣医師の現場に合わせて再構成したものです。




