
ゆっけ
先に正直に書きます——私自身は小動物臨床(動物病院勤務)の経験はありません。

ワン
ゆっけさんが動物病院で働いたことないなら、どうしてあるあるを書けるんですか?

ゆっけ
いい質問、実は獣医師全体の約47%が小動物臨床に集中していて、動物病院で働く獣医師の声は業界で一番大きな塊なんです。
先輩や友人の体験談を聞いていると、「動物病院ならではの辛さあるある」が浮かび上がってきます。
今回は"辞めたくなる瞬間"を厳選7つ、「これは深刻だな」と感じたものだけをまとめました。
📌 この記事の結論
- あるあるの正体は個人ではなく、業界の構造的な問題
- 出勤前労働・低年収・人間関係・飼い主対応・看取り・呼び出し・身体リスク
- 辛いのは、「あなたの頑張り不足」じゃない
- 動物病院だけが道じゃない(公務員などの選択肢もある)
先に、この記事でいちばん伝えたいことを。
これから挙げる7つの「辞めたくなる瞬間」は、あなたの頑張り不足ではなく、業界の構造が生んでいるものです。
なぜそう言えるのかは、7つを読み終えるころには分かるはず。
「分かる…」とうなずきながら、安心して読み進めてください。
あるある①:出勤前の入院当番、見えない労働時間
動物病院の労働環境の厳しさを象徴するのが出勤前の入院当番です。
入院動物の世話・点滴・投薬・採血は、始業前に終わらせる必要があります。
だから、始業より1時間早く出勤するのが当たり前という病院も少なくありません。
ある先輩は始業9時の病院で、毎日7時半に出勤していました。
その1時間半は、当然給料に反映されない。
タイムカードに記録されない"見えない労働時間"が、毎日積み重なっていきます。
誰かがやらないといけない仕事なのに、なんとなく「若手の仕事」になっている病院も多い。
朝早く起きて、誰にも評価されない仕事を黙々とこなす。
それが何ヶ月も続くと、メンタルが削られていきます。
あるある②:6年制専門職なのに、年収が医師の半分以下

ワン
医学部と同じ6年なのに、お給料はそんなに違うんですか?

ゆっけ
そうなんです、年収が医師の半分以下——多くの現役獣医師が抱える、業界の根深い問題です。
新卒で動物病院に入ると、初任給は20万円台前半がほとんど。
手取りにすると18万円前後です。
学生時代の奨学金返済もあるのに、家賃・食費を払うと月末にはほぼ手元に残りません。
ある同期は「同じ大学から医学部に行った友人と比べると年収差がエグい。やりがいはあるけど、生活が成り立たない」と話していました。
6年間の学費・努力に見合うリターンが、業界として担保されていない。
これは個人ではなく、業界全体の問題です。
あるある③:閉鎖的な空間で、人間関係がこじれやすい
動物病院は少人数・閉鎖空間で長時間過ごす職場です。
ここで人間関係が崩れると、逃げ場がありません。
そりが合わないスタッフが1人いるだけで、毎日の出勤がしんどい。
これは動物病院で最も多い退職理由と言われています。
5〜10人の病院では、毎日同じメンバーと8時間以上一緒。
休憩室も狭く、気を遣います。
疲れや慣れから周りを気遣う余裕もなくなり、気づけば誰かが誰かに当たっている空気が日常化していきます。
ある友人は、院長と合わないという理由で退職を決意しました。
「仕事内容は好きだった。でも毎朝『今日も院長と顔を合わせるのか』と思うと家を出る足が重くなって」と本音を語っていました。
動物病院を辞める理由のトップが「人間関係」と言われるのは、この構造が背景にあります。
あるある④:トンデモ飼い主さんへの対応疲れ
意外と大きいのが、飼い主さん対応です。
「うんちくはいいから早く薬だけくれ」「言うとおりにやればいいんだよ」「ネットで調べたけど、この治療はやらないの?」。
こんな言葉を浴びせられることも珍しくないようです。

ワン
動物相手の仕事なのに、飼い主さんへの対応ってそんなに大変なんですか?

ゆっけ
それが意外と大きな負担で、誠実に説明しようとしているのに拒否されることもあるんです。
1日に何件も同じような対応が続くと、メンタルが削られます。
ある先輩は「動物相手の仕事と思って獣医師になったのに、ふたを開けたら仕事の8割は人間相手だった」と苦笑いしていました。
診察室では飼い主に気を遣い、待合室では不満を浴び、電話では問い合わせを受け続ける。
「動物が好き」だけで続けるには、人間関係のストレスが想像以上に大きい——これが動物病院あるあるです。
あるある⑤:大切にしていた動物が、目の前で亡くなる精神的ダメージ
これは動物病院特有の、最も重い辛さかもしれません。
大好きな動物が、目の前で亡くなっていく。
飼い主さんが泣き崩れる姿を目の当たりにし、「あのときこうしていれば」と自分を責める夜。
ある友人は新卒1年目に初めて自分の担当患者を看取った夜、家に帰ってから1時間泣き続けたそうです。
「悲しいというより、無力感に押しつぶされた」と振り返っていました。
動物が好きで志したのに、その「好き」がそのまま辛さに変わる。
「動物が好きすぎる人ほど、動物病院は辛くなる」という構造があり、命と向き合う仕事はそれだけ重いのです。
あるある⑥:休みなのに休めない——電話・呼び出しの恐怖
動物病院の休日は、本当の意味での休日ではありません。
休日でも、担当している入院動物のことが頭から離れない。
スマホが鳴ると「もしかして病院から…?」と一瞬で身構える。
実際に呼び出されて、休みが吹き飛ぶことも。
特に院長と少人数で回している病院では、「休みでも何かあったら呼ばれる」のが当たり前。
旅行も計画しづらく、結婚式の予定も入れにくい。
ある先輩は「結婚式の前日に呼び出されかけて、本気で辞めようと思った」と言っていました。
プライベートと仕事の境界が曖昧——これが慢性的に続くと、心の余裕がどんどんなくなっていきます。
あるある⑦:処置中に噛まれる・引っかかれる日常
動物病院の獣医師は、毎日のように動物に噛まれたり引っかかれたりする職業です。

ワン
それって、職業病みたいなものなんですか?

ゆっけ
まさに職業病で、怖がって暴れる動物を抑えながら処置するのは、毎日のリスクとの戦いなんです。
ある同期は「腕に新しい傷が増えるのが当たり前すぎて、もう気にしなくなった」と話していました。
中には深く噛まれて病院に運ばれた獣医師もいるほど。
「腰痛・腱鞘炎・噛み傷・引っかき傷」は、動物病院の獣医師の職業病です。
若いうちはなんとかなっても、40代・50代まで続けられる仕事なのか?と不安になる人も少なくありません。
動物病院あるあるは「業界の構造的な問題」でもある
ここまでの7つには共通点があります。
個人の頑張りでは解決しにくい、業界全体の構造的な問題だということ。
- 出勤前の早朝労働 → 労働時間管理の問題
- 年収が低い → 業界全体の給与水準の問題
- 閉鎖空間の人間関係 → 動物病院の規模と組織構造の問題
- トンデモ飼い主対応 → 顧客対応リスクの問題
- 動物の死 → 仕事の本質的な辛さ
- 休日でも呼び出し → 少人数運営の構造的な問題
- 身体的リスク → 動物相手の仕事の宿命

ワン
これって、頑張れば解決できる問題じゃないんですね…

ゆっけ
そう、だからこそ「自分が悪いわけじゃない」「自分の頑張り不足じゃない」と思ってほしいんです。
動物病院で辛いと感じるのは、ある意味正常な反応です。
もし動物病院が辛いなら、選択肢を知ってほしい

ゆっけ
獣医師としてのキャリアは、動物病院だけじゃありません。
私自身は公務員獣医師と産業動物獣医師を経験してきました。
特に「ほどほどに働きたい」という方には、地方公務員獣医師という選択肢があります。
夜中に呼び出されることも、休日に電話が鳴ることも、動物に噛まれることもほぼなくなります。
「動物病院しか道がない」と思い詰める前に、ぜひ他の選択肢も知ってみてください。
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※ 本記事は筆者の経験・同期友人の体験談・業界の動向をもとに構成しています。





