
ゆっけ
こんにちは、ゆっけです。

ワン
ゆっけさん、「1日シリーズ」って産業動物・保健所・家保・食検とありますけど…いちばん獣医師が多い「動物病院」の1日が、まだ無くないですか?

ゆっけ
鋭い(笑)。ずっと宿題だったんです。 先に正直に言うと、私自身は小動物臨床の経験がありません(公務員→産業動物のキャリアです)。なので今回は、動物病院で働く同期・友人に「ある平日の1日」を細かく取材して、できるだけリアルに再構成しました。 一次診療(街の動物病院)の、ある1日です。
まず数字で全体像をつかむ

ゆっけ
取材して最初に驚いたのがこれ。「診察時間」の外に、見えない仕事がぎっしり詰まっているんです。順番に見ていきましょう。
タイムスケジュール
7:30|出勤・入院当番(始業前の見えない仕事)
始業は9時。でも、若手獣医師の朝はもっと早い。 入院動物の点滴・投薬・採血・ごはん・散歩を、診察が始まる前に終わらせる必要があるからです。

ゆっけ
取材した友人は、始業9時の病院に毎朝7時半に出勤していました。「入院の子の様子が朝イチで変わってることもあるから、結局早く行くしかない」と。 この時間、タイムカードに載らない病院も少なくないのが、業界の正直な現実です。
9:00|午前の診察(予防・体調不良がどっと来る)
診察開始。午前は来院数がいちばん多い時間帯です。
- ワクチン・フィラリア予防・ノミダニ予防
- 「昨日から吐いてる」「下痢が止まらない」
- 皮膚のかゆみ、耳の汚れ、歯のこと
- シニアの子の定期チェック

ゆっけ
1人の獣医師が午前だけで10〜20件診ることも。診察→説明→カルテ→次の患者…の繰り返しで、気づいたら一度も座らず昼になっているそうです。

ワン
動物だけじゃなくて、飼い主さんへの説明もあるんですもんね…。

ゆっけ
そう、そこが小動物の特徴。動物を診る時間と同じくらい、人と話す時間が長い。「仕事の8割は人間相手だった」と笑う友人もいるくらいです。
12:00|「昼休み」という名の手術・検査タイム
午前の診察が終わると、待っているのは休憩…ではなく手術です。
- 避妊・去勢手術
- 歯石除去(スケーリング)・抜歯
- 腫瘤の切除、エコー・レントゲンなどの精密検査

ゆっけ
外来を止められる昼の時間帯が、唯一まとまったオペの時間。「昼休み=手術時間」が小動物臨床の常識と聞いて、産業動物育ちの私は正直驚きました。
14:30|遅い昼食
手術が終わってから、ようやく昼食。コンビニのおにぎりやパンを、休憩室でさっと済ませる人が多いそうです。 午後の診察まで30分あれば良いほう。手術が長引けば、昼食抜きでそのまま午後診という日もあります。
16:00|午後の診察(夕方ラッシュ)
午後の診察開始。仕事帰りの飼い主さんが集中する17〜19時が、1日で2番目の山場です。

ゆっけ
夕方は「会社帰りに連れてきました」が続々と。日中に容態が悪化した子の駆け込みもこの時間帯。 予約はあってないようなもので、読めない混み方をするのが夕方だそうです。
19:00|診察終了——でも仕事は終わらない
閉院後にやることが、まだ残っています。
- 入院動物の夜の処置・点滴の交換
- カルテの記入、検査結果のまとめ
- 飼い主さんへの電話報告(入院の子の容態など)
- 院内の片付け・器具の滅菌
20:30|退勤
すべて終えて、ようやく退勤。朝7時半から数えると、拘束はおよそ13時間。 これが「特別に忙しい日」ではなく、わりと普通の平日だというのが、取材していちばん重かった事実です。

ゆっけ
しかも家に帰っても、入院の子のことが頭から離れない。「休みの日にスマホが鳴ると身構える」という話は、複数の友人から聞きました。
季節で変わる「1日の景色」

ゆっけ
どの友人も口を揃えるのが「春はやばい」。予防シーズンの動物病院は、1日の診察件数が普段の1.5〜2倍になるそうです。
向いている人・向いていない人
取材した同期・友人たちの声をまとめると、こうなります。
向いている人
- 動物も人(飼い主さん)と話すことも好きな人
- 診察・手術・検査と、マルチタスクをこなせる人
- 一頭一頭の回復・成長を長く見届けたい人
- チームで働くのが好きな人
向いていない人
- 労働時間・給与のバランスを最優先したい人
- 人とのコミュニケーションに強いストレスを感じる人
- 自分のペースで黙々と働きたい人
- 「動物が好き」だけが理由の人(好きすぎると、看取りが辛い)

ゆっけ
最後の1つは、友人の言葉をそのまま借りました。「動物が好きで入った人ほど、命の現場の重さに削られる」——きれいごと抜きの、現場の声です。
他の転職先と比べたら、小動物臨床はどこに位置する?
| 転職先 | ワークライフバランス | 給与 | 採用ハードル |
|---|---|---|---|
| ⭐ 一般開業医(小動物) | △(長時間拘束) | ○(病院差が極大) | ◎(低い) |
| 産業動物獣医師 | △(当直あり) | ○(2年目以降アップ) | ◎(低い) |
| 地方公務員 | ◎ | △ | ◎(低い) |
| 食肉衛生検査所(公務員) | ◎ | ◎ | ◎(低い) |
| 製薬会社 | ○ | ◎ | △(やや高い) |

ゆっけ
小動物臨床は「経験を積める量」では間違いなくトップクラス。症例数・手術数・飼い主対応——ここで数年鍛えた経験は、その後どのキャリアに進んでも武器になります。 一方で、労働時間と給与のバランスは病院によって極端に違う。就職・転職の前に必ず見学を。
1日を振り返って

ゆっけ
朝7時半の入院当番から、夜の電話報告まで——動物病院の1日は、外から見えるよりずっと長くて、ずっと濃い。 それでも取材した友人たちは、「しんどいけど、回復して退院していく瞬間がぜんぶ持っていく」と笑っていました。

ワン
しんどさの先に、ちゃんと「よかった」があるんですね。

ゆっけ
その「よかった」の話は、シリーズの小動物編にまとめてあります。今日の記事とセットで読むと、小動物臨床の影と光の両方が見えるはずです🐾
※ 本記事は同期・友人への取材をもとに構成した一例です。病院の規模・診療方針・地域によって1日の流れは大きく異なります。
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