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産業動物獣医師の1日|現役獣医師がリアルな仕事内容を時系列で公開

現役獣医師ゆっけが、産業動物獣医師として働いていた頃の仕事の1日をリアルなタイムスケジュールで公開。往診・車内での昼食・当直のリアル、季節ごとの診療内容の違い、向き不向きまで時系列で詳しく解説します。

📅🔄17分で読めます
#産業動物#1日のスケジュール#体験談#獣医師のリアル
産業動物獣医師の1日|現役獣医師がリアルな仕事内容を時系列で公開
ゆっけ書いた人:ゆっけ(現役獣医師)保健所→産業動物臨床→家畜保健衛生所→畜産と、4つの現場を経験。
ゆっけ

ゆっけ

今回は、私が産業動物獣医師として働いていた頃の、仕事の1日をそのまま公開します。

産業動物への転職を考えている方、ぜひ読んでみてください。

📌 この記事の結論

  • 産業動物の1日は往診8〜10件・走行100km
  • 移動はプロボックスなどの商用車、昼食は車内で食べるのがほとんど
  • 拘束時間は8:30〜17:15が基本。日によっては残業あり(カルテ整理や月末の薬の棚卸しなど)
  • 当直は分担制で、当直じゃない日は呼び出しゼロ
  • 体力的にキツいが、農家さんに喜んでもらえることがやりがい
💡この記事でわかること
  • 産業動物獣医師のリアルな1日のタイムスケジュール
  • 1日8〜10件・走行100km前後の現場感
  • 季節で変わる診療内容の違い
  • 当直体制のリアル
  • 向いている人・向いていない人の判断軸

なぜ、わざわざ「1日」を公開するのか。

理由は、求人票や説明会では「実際の時間の流れ」までは分からないから。

朝から夜までの流れを見るのが、その仕事との相性を知るいちばんの近道です。

まず数字で全体像をつかむ

文章の前に、1日のスケール感を数字で。

📐1日のスケール感(数字で見る)
担当エリア
農場群を巡回
半径30〜40km
1日の往診件数
8〜10件
1日の走行距離
約100km
使用車両
プロボックスなどの商用車
診療車
拘束時間
+当直日のみ夜間対応
8:30〜17:15

数字だけ見れば、ハードに感じないかもしれません。

ただ、難産介助や手術が入れば、かなりハードな1日に激変します。

その日にならないと、どれくらい忙しいのか分からないのが臨床現場のあるあるです。

また、夏場は特に暑く、体力が奪われます。

タイムスケジュール

8:30|出勤・準備

診療所に出勤したら、まずその日の分担決めです。

誰がどのエリアを担当するか確認したら、診療車に薬を積み込みます。

注射薬・補液・器具類——手際よく積まないと、現場で「あれがない」となる。

いざ治療を始めようとして薬がないと、取りに帰るか、近くの先生と連絡を取ってどうにか薬を入手する必要があるので、時間をロスします。

ゆっけ

ゆっけ

診療車は産業動物獣医師の相棒。トランクが広い商用車タイプが多く、現場仕様でよくできているんです

段差が少なくて、補液の段ボールがちょうど収まるんです。

診療車のトランクに注射薬や補液を積み込む産業動物獣医師と、そばで見守るゴールデンレトリバーの子犬

朝の積み込み作業。地味だけど、1日の出来を左右する大事な準備です

9:30|診療開始(緊急性の高い順に巡回)

牧場で牛を聴診する産業動物獣医師。背景に牛舎と、診療道具を積んだ往診車

往診のイメージ。1件ごとに農場を回り、車には診療道具一式を積んでいます

急性乳房炎などの緊急案件から、順番に回ります。

特に「牛が立たない」「子牛が産まれない」という連絡が来たら最優先。

起立不能は原因が複数あって、判断も処置も早さが命です。

ゆっけ

ゆっけ

本音は効率よく回りたい、でも「とりあえず急いで来て!」と言う農家さんに限って、めちゃくちゃ遠い場所にいたりするんですよね…。

午前中に4〜5件回ることもあれば、難産介助1件に2時間かかって午前はそれだけで終わる、なんて日もあります。

12:30|昼食・昼寝

診療の目処がついたら、お昼休みに入ります。

時間は目安ですが、私はお昼前後には休憩を取るようにしていました。

空腹が長く続くと夏場は危ないので、しっかりご飯を食べて、しっかり休憩する。

往診車の運転席でおにぎりを食べたあと、シートを倒してうたた寝する産業動物獣医師

お昼は車内飯+昼寝が定番でした

ご飯は私の場合、汚れたつなぎで飲食店に入るのが嫌なので、いつもお弁当を持参して車内で食べていました。

節約の意味もあります。他の先生は、外食に行く人も多かったです。

休憩場所は、道の駅や公園の駐車場が多かったです。

午後の診療が軽そうなら、昼寝もします。

ゆっけ

ゆっけ

でも、昼寝の途中に限って追加の診療の連絡が来たりして、少しテンションが下がります(笑)

15:30|帰所・カルテ入力・補充作業

午後の診療が一段落したら、診療所に戻ってカルテ入力。

往診中にメモした内容を、パソコンで高速で打ち込みます。

隣のベテラン先生からは「診療種別は何番?」とか、あまり使わない薬の短縮番号をよく聞かれたりします。

その後は薬の補充。

特に夏場は、補液の消耗が桁違い

私は心配性なので、過剰なくらい補液を診療車に詰め込んでいました。

そのおかげか、近くの先生から「Ca剤余ってない?」と連絡が来て、補液剤を他の先生たちに回すことも多かったです。

ちなみに、診療の合間で種付けも行っていました。

また、月末はカルテ整理や薬の棚卸しをするので、残業することが多いです。

棚卸しは事務仕事で一番大変な作業。薬の在庫が合わないことが多くて、最終的には力技で数字を合わせに行きます。

17:15|帰宅(当直日は別)

追加の呼び出しがなければ、定時で帰宅。

ただ、夕方に農家から電話が来ることもあります。

ゆっけ

ゆっけ

私の診療所では当直制がきっちり決まっていて、当直じゃない日は呼び出しゼロでした。

「今日は◯◯先生の当直日」と分担表がある。

しかし、当直は1人体制。実際に自分が当直になったとき、農家さんから電話があると緊張します。

とくに「子牛がなかなか産まれない」と夜中に連絡があったときは、農場に着くまで緊張感マックス。

「無事に分娩介助できるかなー」「帝王切開するのやだなー」と考えながら、深夜の道を運転していたりします。

満月の夜、農場へ向かって田舎道を走る診療車の運転席から見た様子

当直の夜、農家さんからの連絡で農場へ向かう道のり

診療内容は季節で変わる

産業動物臨床は、季節で診療内容がガラッと変わります。

同じスケジュールでも、やっている仕事は別物です。

春夏秋冬それぞれの牛のイラスト。春は花見、夏は点滴、秋は搾乳、冬は防寒着姿の子牛

季節によって、現場で向き合う診療内容がまったく変わります

📋季節で変わる診療内容
一番平和な季節。
熱中症・脱水・乳房炎が急増。
なぜか搾乳牛の体調が崩れやすい。第四胃変位などの疾患が多発する。
とにかく子牛の下痢が多発。点滴が多く、1件あたり1時間つきっきりということもザラ。

「夏は暑さと脱水との戦い、冬は子牛の下痢との戦い」とよく言っていました。

年間スケジュールが体に染み込むまでは、季節の変わり目で体調を崩しがちです。

向いている人・向いていない人

5年やって感じた肌感を、正直に書きます。

向いている人

  • 運転が好きな人
  • 農家さんと世間話ができるコミュニケーション力がある人(技術より大事と言ってもいい)
  • 1日の中で自分のペース配分を作れる人
  • 体力に最低限の自信がある人

向いていない人

  • 常に清潔な環境で働きたい人
  • 屋内のチームワーク重視の働き方が好きな人
  • 運転が苦手・一人で長時間移動するのが苦痛な人
  • 土日祝日は必ず休みたい人

シフト制なので、どうしても土日祝日が必ず休みになるとは限りません。

私の場合は、妻や子どもとの予定が合わなくなってきたので、臨床を一度離れるという選択をしました。

「向き」は事前に分かりにくく、やってみて初めて気づく部分も多いです。

でも運転(長時間の一人移動)だけは、やる前にイメージしておくと後悔が減ります

1日を振り返って

ゆっけ

ゆっけ

こうやって書き出すと結構ハードに見えますが、産業動物臨床の5年間、私はわりと好きでやっていました。

体はバキバキになるし、においもすごい。

夏はとにかく暑い。

それでも農家さんに「ありがとう」と喜んでもらえることが、この仕事のいちばんのやりがいだったと今でも思います。

小動物臨床と大きく違うのは、フィールドが農場であること。

診察室という閉じた空間で1日中過ごすわけじゃない。

田舎道を走りながら次の農場に向かう移動時間が、ある種のリセット時間になっていました。

運転中はYouTubeやAudibleなど、耳で楽しむ配信をよく聞いていました。

向いている人にとっては本当に面白い仕事で、向いていない人にとっては体が持たないかもしれない。

どちらなのかは、やってみるまで分からない部分もあります。


他の転職先と比べたら、産業動物獣医師はどう?

獣医師の主な転職先を、ワークライフバランス・給与・採用ハードルの3軸で比較するとこんな感じです。

転職先ワークライフバランス給与採用ハードル
⭐ 産業動物獣医師(当直あり)(2年目以降アップ)◎(低い)
地方公務員◎(低い)
製薬会社△(やや高い)
食品関連企業△(やや高い)
一般開業医(小動物)◎(低い)
ゆっけ

ゆっけ

産業動物の強みは「採用ハードルが低い+2年目以降の給与が伸びる」こと——地域選びさえ間違えなければ、年収600〜700万円も狙えます。

一方で当直の有無や運転距離は診療所で大きく変わるので、必ず確認してください。


※ これは私の経験に基づく一例です。地域・診療所・担当エリアによって1日のスケジュールや業務内容は大きく異なります。

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