獣医師のリアル
産業動物獣医師の1日——プロボックスと牛と昼寝の話
2026年4月19日

ゆっけ
こんにちは。今日は私が産業動物獣医師だった頃(2018〜2023年)の、ある平日の1日をそのまま見せます。「産業動物ってどんな仕事なの?」と気になっている人、特に転職先として考えている人に読んでほしい記事です。
きれいな仕事自慢ではなく、悪露のにおいがしみついたつなぎのまま昼飯を食う話もちゃんとします。現場のリアルを知りたい人、どうぞ。
タイムスケジュール
出勤・準備
診療所に出勤したら、まずその日の診療の分担決め。どの先生がどのエリアを担当するか、どの農場に優先して向かうかを確認します。
それが済んだら往診車(プロボックス)に薬を積み込む。注射薬・補液・器具類——手際よく積まないと後で「あれがない」となる。これが地味に大事。
診療開始
急性乳房炎など緊急性の高い主訴から順番に回っていく。特に「牛が立たない」という連絡が来たら最優先。起立不能は原因が複数あって判断も処置も早さが命なので、その他の案件は後回しにする。

ゆっけ
本音:効率よく回りたいんですよ、こちらとしては。「とりあえず急いで来て!」って言う農家さんが、めちゃくちゃ遠い場所にいたりするんですよ…。しかもそういう時に限って道が細かったりします。
昼食・昼寝
午前中に何件か診療をこなして、往診車の中で昼飯。

ゆっけ
外食は基本ムリです。汗だくのつなぎ+悪露や膿汁のにおいが染みついた状態でお店に入るのは、さすがに他のお客さんに申し訳ない。なので車内飯が定番です。
でも、これに続く話が本題です。

ゆっけ
昼飯のあと、私は必ず昼寝します。キンキンに冷えたプロボックスのシートでうとうとする15〜20分、これが最高なんです。「サボってる」じゃなくて「回復してる」です。午後の診療の質のために必要な投資です(本気で言ってます)。
診療所へ帰還・カルテ入力・補充作業
診療が一段落したら診療所に戻ってカルテを入力する。往診しながらメモした内容を清書する感じ。
それが終わったら薬の補充。特に夏場は補液の消耗が桁違いに多い。熱中症や脱水を起こした牛への点滴量がすごいので、プロボックスのトランクに補液のボトルをぎっしり詰め込む作業は夏の風物詩でした。

ゆっけ
翌朝に「補液が足りなかった」は絶対NGです。補充は念入りに、いつもより多めに積む。これは習慣というより生存戦略です。
帰宅
追加の呼び出しがなければ帰宅。「なければ」というのが大事で、夕方に農家から電話が来ることもある。でも比較的、小動物臨床に比べるとオンコール体制は明確に決まっていたので、精神的には楽な部分もあった。
1日を振り返って

ゆっけ
こうやって書いてみると、けっこうハードそうに見えるかもしれません。でも産業動物臨床の5年間、私はわりと好きでやっていました。
小動物臨床と大きく違うのは、フィールドが農場と往診車というオープンな世界であること。診察室という閉じた空間で1日中過ごすわけじゃない。北海道の広い農道を走りながら、次の農場に向かう移動時間が、ある種のリセット時間になっていました。
体はバキバキになるし、においもすごいし、夏は地獄のように暑い。それでも「自分の手で動物の命に関わっている」という手ごたえは、臨床ならではのものだったと今でも思います。
産業動物臨床は、向いている人にとっては本当に面白い仕事です。向いていない人にとっては、体が持たないかもしれない。どちらなのかは、やってみるまで分からない部分もあります。
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※ これは私の経験に基づく一例です。地域・診療所・担当エリアによって1日のスケジュールや業務内容は大きく異なります。
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