
ワン
ゆっけさん、「獣医師の平均年収は680万円」って見たんですけど…周りの先生たち、そんなにもらってる気がしません…。

ゆっけ
それ、大事な違和感です——「平均年収」と「あなたがもらえる年収」は、別物なんです。
この記事は、獣医師の年収の全体像を1本にまとめたものです。
公的統計・求人データ・当サイトで公開してきた給与実例を突き合わせて、リアルな相場をまとめます。
読み終えれば、自分の年収が相場と比べてどうなのか、はっきり答えられるようになります。
📌 この記事の結論
- 統計上の平均は約680万円(ただし調査年でブレが大きい)
- 求人ベースの相場は450万円前後、1年目は350〜450万円
- 差の正体は「平均」が、ごく一部の高い人に引っ張られる数字だから
- 真ん中の人(中央値)は平均よりずっと低い。平均より下が普通です
- 年収は分野と年代でまるで違う。高い順はJRA→製薬企業→食鳥・食品→公務員→臨床
- 公務員は1年目450万円だが、昇給が止まらず40代以降に伸びる
結論:平均680万円を、鵜呑みにしてはいけない
先に、いちばん大事な結論から。
「獣医師の年収」には、3つの違う数字があります。
| 数字の種類 | 金額の目安 | 何の数字か |
|---|---|---|
| 統計の平均 | 約680万円 | 全国の獣医師の平均(平均年齢38.7歳・賞与込み) |
| 求人の相場 | 約450万円前後 | いま募集中の求人票に書かれた金額の平均 |
| 1年目の実例 | 約350〜450万円 | 新卒・若手が実際に受け取る金額 |

同じ「獣医師の年収」でも、数え方でこれだけ違います
「平均680万円」を見て転職すると、求人票の数字とのギャップに驚くことになります。
だからこの記事では、自分の年代・分野と比べられる形で相場を整理します。
分野別の年収一覧(高い順)
先に全体像です。獣医師の働き口を、年収の高い順に並べました。
| 分野 | 年収の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| JRA(獣医職) | 平均 約1,080万円 | ベテラン込みの平均。採用はごく少数 |
| 製薬企業 | 500万〜1,000万円超 | 獣医師ではトップクラス。職種で差が大きい |
| ブロイラー会社など食鳥 | 500〜800万円 | 完全週休2日。獣医師業界ではマイナー |
| 食品・飼料メーカー | 450〜700万円 | 土日休みで生活が安定しやすい |
| ペット保険会社 | 450〜600万円 | 中途の門戸が広い |
| 公務員(都道府県) | 1年目 約450万円 → 40代以降に伸びる | 昇給が止まらない。退職金もある |
| 産業動物(NOSAI) | 1年目 約423〜430万円 | 当直手当で2年目以降に伸びる |
| 小動物臨床(動物病院) | 1年目 約380万円(350〜450万円) | 病院による差が極端に大きい |

帯の長さが、その分野で動ける幅です
この順番を見て「上から選べばいい」とは考えないでください。
JRAや製薬企業は募集の数がそもそも少ないですし、休みの取りやすさや転勤の有無も分野でまるで違います。
年収だけで決めると、別のところでつらくなります。
1年目の金額は、当サイトで給与明細をもとに公開している実額です。企業の金額は、公開求人をもとにした目安になります。
理由:なぜ3つの数字はこんなに違うのか
理由は、それぞれ数えている人が違うからです。
- 統計の平均には、経験20年のベテランや管理職も含まれる(若手だけの数字ではない)
- 求人の相場は、これから人を採る職場の提示額(=転職市場の現実)
- さらに獣医師の統計はサンプル数が少なく、調査年によって数百万円単位でブレる
いちばんの理由は、「平均」という数え方そのもの
ここを知っておくと、年収の記事に振り回されなくなります。
平均は、ごく一部の高い人に引っ張られます。
獣医師5人の年収で考えてみます。
| 年収 | |
|---|---|
| Aさん(勤務医3年目) | 400万円 |
| Bさん(NOSAI5年目) | 430万円 |
| Cさん(公務員5年目) | 450万円 |
| Dさん(企業勤務) | 520万円 |
| Eさん(開業して成功) | 2,000万円 |
この5人の平均は760万円です。でも真ん中の人(中央値)は450万円。
5人のうち4人が、平均より下になります。

Eさん1人で、平均の線がここまで押し上げられます

ワン
平均以下の人のほうが、多いんですか。

ゆっけ
そうなんです。Eさん1人で、平均が300万円以上動いています。
獣医師は、この偏りが出やすい職業です。開業して成功した院長、JRA、外資系の製薬企業——上がとても高く、下は勤務医の相場に固まっています。
平均=全員を足して人数で割った数字。高い人に引っ張られる
中央値=全員を順番に並べたとき、ちょうど真ん中の人の数字。実感に近い
世の中に出回る「獣医師の年収」は、ほぼ全部が平均です。
だから「平均680万円」を見て、自分が下だからといって落ち込む必要はありません。多くの人は平均より下にいます。それが普通です。
比べるなら、同じ年代・同じ分野の実額です。この記事の後半に並べてあります。
統計によっては、平均885万円(平均46.7歳)と出る年もあります。
数字がバラつくのは、調査対象になった獣医師の年齢層・職域が年ごとに違うためです。
「どの統計か」より、「自分と近い条件の実例」を見るほうが役に立ちます。
では、自分と比べられる数字を見ていきましょう。
具体例①:年代別の年収相場
まず年代別です。
統計の年齢別データと、業界の肌感を合わせた目安がこちら。
| 年代 | 年収の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 20代 | 400〜500万円 | 1年目は350〜450万円からスタート |
| 30代 | 500〜650万円 | 経験・専門性で差が開き始める |
| 40代以降 | 600〜750万円超 | 分野・役職で大きく変わる |
ポイントは、獣医師の年収は「勝手には上がらない」が「打ち手で変えられる」こと。
年代別の転職の動き方は、こちらで詳しく解説しています。
具体例②:分野別の年収比較(1年目の実例つき)
次に、働く分野別です。
当サイトでは、実例ベースの「1年目給与」を公開しています。
| 分野 | 1年目の実例(額面) | 特徴 |
|---|---|---|
| 公務員(保健所等) | 約450万円 | 安定・賞与が規定どおり出る |
| 産業動物(NOSAI) | 約423〜430万円 | 当直手当で2年目以降伸びる |
| 小動物臨床(動物病院) | 約380万円(350〜450万円) | 病院差が極端に大きい |
それぞれの内訳(月給・ボーナス・手取り)は、給与明細ベースで公開しています。
企業・専門分野は、もう一段上がります
企業・専門分野は、経験を積んだ転職先として年収水準が上がります。
| 分野 | 年収の目安 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| ペット保険会社 | 約450〜600万円 | ペット保険会社で働く獣医師 |
| 製薬企業 | 年収水準は高め | 製薬企業で働く獣医師 |
| JRA(獣医職) | 平均約1,080万円(ベテラン含む平均) | 馬の獣医師になるには |

ワン
同じ獣医師なのに、分野でこんなに違うんですね…。

ゆっけ
そうなんです、年収の悩みは「頑張り」より「どこで働くか」で決まる部分が大きいんです。
公務員獣医師の年収は、どう上がっていくか
ここだけ少し詳しく書きます。検索でいちばん多く聞かれるのが、公務員獣医師の年収だからです。
1年目は約450万円
私が新卒で保健所に入った年の実額です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給(額面) | 約30.9万円 |
| ボーナス(年間) | 約75万円 |
| 年収(額面) | 約450万円 |
月給の内訳は、基本給24万円に獣医師手当3万円、地域手当や住居手当が乗った形でした。給与明細そのものはこちらの記事で公開しています。
2年目以降は、毎年確実に上がります
公務員の年収の特徴は、黙っていても上がることです。
目安は月額1万円前後ずつの昇給。1年で年12万円前後、10年で100万円以上の差になります。
- 20代:450〜550万円。臨床の同期と大差はありません
- 30代:550〜650万円。このあたりで差がつき始めます
- 40代以降:役職がつくと、さらに伸びます
公務員の本当の強みは、40代以降です。小動物臨床は20代のうちは公務員と大差ありませんが、昇給が止まりやすい。公務員は止まりません。

20代はほぼ同じ。離れ始めるのは30代の後半からです
退職金まで含めた生涯年収は、約2億3,000万〜2億5,000万円。定年まで勤めた場合、退職金だけで2,000万円前後が見込めます(獣医師の生涯年収と老後のお金)。
同じ公務員でも、自治体で差がつきます
同じ1年目でも、都道府県によって初任給が違います。
差を生んでいるのは初任給調整手当です。獣医師の確保に苦労している自治体ほど、この手当を厚くしています。
47都道府県の初任給を、実際に全部調べて並べました。

具体例③:手取りはいくらになる?
ここまでの数字は、求人票と同じで、すべて「額面」です。
そこから税金と社会保険料が引かれるので、実際に使えるお金=手取りは少なくなります。
目安は額面の75〜85%。額面500万円なら、手取りはおよそ390万円です。
給料から引かれる「4つのお金」
| 引かれるもの | 中身 |
|---|---|
| 所得税 | 国に納める税金。収入が多いほど税率が上がる |
| 住民税 | 住んでいる自治体に納める税金(前年の所得で決まる) |
| 社会保険料 | 健康保険+厚生年金。給料のおよそ15%前後 |
| 雇用保険料 | 失業したときの給付などのための保険。ごく少額 |

ワン
税金より、社会保険料のほうが大きいんですね。

ゆっけ
そうなんです。節税の話より先に、この15%を知っておくほうが役に立ちます。
年収別・手取りの早見表
独身・扶養なしの概算です。扶養家族の有無・住む地域・年度によって変わります。
| 額面の年収 | 手取りの目安 | 月あたり | 額面に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約315万円 | 約26万円 | 約79% |
| 500万円 | 約390万円 | 約32万円 | 約78% |
| 600万円 | 約460万円 | 約38万円 | 約77% |
| 700万円 | 約525万円 | 約44万円 | 約75% |
| 800万円 | 約590万円 | 約49万円 | 約74% |
年収が上がるほど、手取りの割合は下がります。所得税が「稼ぐほど税率が上がる」仕組みだからです。
ただし割合が下がっても、手取りの金額は、しっかり増えていきます。
奨学金の返済がある方は、ここからさらに返済分を見込む必要があります。
額面だけで職場を選ぶと、損をすることがある
月給や額面が高く見えても、その中身に「みなし残業代」が含まれていたり、賞与が無かったりすると、年間の手取りでは逆転することがあります。
「額面◯万円」の大きさだけで飛びつかないでください。
賞与や退職金まで含めた比べ方は、こちらでまとめています。

引かれる分を減らす制度もあります
効果は額面を上げることに比べれば小さいですが、知っておくと差がつきます。
- ふるさと納税:実質2,000円の負担で、住民税・所得税の一部を返礼品に置き換えられる
- iDeCo(個人型確定拠出年金):積み立てた掛金が所得控除になり、その年の税金が軽くなる
- 医療費控除・生命保険料控除など:年末調整や確定申告で申告すると、払いすぎた税金が戻ることがある
どの制度が自分に合うかは、家族構成や収入で変わります。
大きな金額を動かす前に、勤務先の年末調整の担当や、税務署の無料相談で確認すると安心です。
ただし、手取りを増やす近道は、やはり額面そのものを上げることです。
年収を上げるには:現実的な打ち手から
「相場は分かった。で、どう上げる?」という方へ。
獣医師の年収は、「黙っていても上がる仕組み」ではありません。
転職・領域シフト・専門性・マネジメント・開業——打ち手をハードルの低い順に選ぶのが現実的です。
5つの打ち手を、ハードルの低い順に1本にまとめてあります。

まとめ:平均ではなく「自分の現在地」と比べる
最後に、もう一度結論です。
- 統計の平均は約680万円。ただしベテラン込み・調査年でブレる数字
- 転職市場の相場は450万円前後、1年目は350〜450万円
- 出回っている数字はほぼ平均。真ん中の人はもっと低いので、平均より下が普通
- 年収は分野と年代で大きく変わる。「どこで働くか」の影響が大きい
- 上げたいなら、打ち手をハードルの低い順に選ぶ

ゆっけ
平均と比べて落ち込む必要はありません、比べる相手は「去年の自分」と「自分の選択肢」で十分です🐾
転職も視野に入れるなら、全体の進め方はこちらの完全ガイドからどうぞ。

出典・参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「獣医師」(賃金構造基本統計調査ベース・平均680.5万円/38.7歳)/求人ボックス 給料ナビ「獣医師」(求人ベース平均約453万円)
※ 統計値は調査年・集計方法で変動します(2026年7月時点の公開情報)。1年目実例は当サイト給与公開記事(一次情報)に基づく代表例で、地域・職場・年度により異なります。



