
ワン
ゆっけさん、獣医師の1年目って、どのくらいもらえるんですか?

ゆっけ
進む道で変わります。先に3つ並べると、小動物380万・産業動物430万・公務員450万が目安です。
公務員と産業動物は、私自身が実際にもらっていた金額です。当時の支給明細をもとに書いています。
小動物臨床は私が経験していないので、同期や友人から聞いた実例をそのまま載せました。
📌 この記事の結論
- 1年目の額面は、公務員450万 > 産業動物430万 > 小動物380万
- 「臨床のほうが稼げる」は、1年目に関しては当たらない
- 産業動物は2年目で約580万円に跳ねる
- 公務員は自治体で年50〜100万円違う
- 見るべきは額面ではなく、時給・手当の開始時期・2年目以降
まず、3つを並べます

ワン
えっ、臨床なのに公務員より低いんですか…?

ゆっけ
そうなんです。「臨床は稼げる」と思って入ると、1年目の額面は公務員より低いことすらあるんです。
しかも臨床は労働時間が長いので、時給に換算すると差はさらに開きます。
これが、多くの新卒が知らない現実です。
では、1つずつ中身を見ていきます。
公務員(保健所):約450万円
私が新卒で地方公務員として保健所に勤めた、1年目の実額です。
以下は私が実際にもらっていた当時の金額です。
公務員獣医師の給与は年々上がっていて、いまはこれより高い自治体がほとんどです。
最新の水準は、この節の最後にまとめています。
月給の内訳(額面)
ボーナス(年間)
年収まとめ
※ 額面ベース。手取りは社会保険・税金で約2割引きです。

ゆっけ
獣医師としては高くないけど悪くない数字。ただ正直、夏のボーナスを見たときは「あれ…これだけ?」と一瞬がっかりしました。
1年目は満額出ない自治体が多いので、これは仕方ないんですけどね。
基本給は「給料表」で決まる
公務員の基本給は「給料表」という公的なルールで決まります。
獣医師に適用されるのは、医療職俸給表(三)か行政職俸給表(一)のどちらかであることが多いです。私の場合は月24万円スタートでした。
昇給の目安は月額1万円前後ずつ。頑張っても頑張らなくても規定どおりに上がっていく——これが公務員の安定感の正体です。
福岡県・徳島県は「特定獣医師給料表」
ここはあまり知られていないので、強調しておきます。
獣医師不足を背景に、福岡県と徳島県では「特定獣医師給料表」という獣医師専用の給料表が適用されることがあります。
行政職給料表より基本給そのものが高く設定されていて、月給ベースで数万円〜の差が生まれます。

ゆっけ
同じ「公務員獣医師」でも、給料表が違うだけで生涯年収が数百万円単位で変わります。
獣医師手当は、自治体で大きく違う
ここが、自治体選びでいちばん重要かもしれません。
獣医師確保のために月数万円〜十数万円を出す自治体が増えている一方、ほとんど出ない自治体もあります。
私の場合は月3万円。自治体によっては月10万円以上出るところもあります。
同じ資格でも、勤務先の自治体によって年収で50万〜100万円の差が出ることはザラです。
地域手当・住居手当も、意外と効く
私の場合、地域手当が1.2万円、住居手当が2.7万円。
合わせて月3.9万円、年間で約47万円のプラスです。
地域手当は勤務地で変わり、都市部ほど高くなります。
いまの初任給は、もっと高い
ここまでは私が働いていた当時の数字です。
いまの公務員獣医師の初任給は、当時よりはっきり上がっています。獣医師が全国的に足りておらず、自治体が手当を上乗せして確保に動いているためです。
47都道府県を調べたところ、初任給(月額)の上位はこうなっていました。
| 順位 | 都道府県 | 初任給の月額 |
|---|---|---|
| 1位 | 奈良県 | 351,642円 |
| 2位 | 北海道 | 350,000円 |
| 3位 | 山形県 | 346,200円 |
| 4位 | 広島県 | 343,000円 |
| 5位 | 鹿児島県 | 341,100円 |
※ 基本給に、初任給調整手当や地域手当などを含んだ金額です。
上位の県では、月額33〜35万円が1年目から出ています。
賞与を加えると、年収500万円を超える県も珍しくありません。
差を生んでいるのは、多くの場合初任給調整手当です。人が採れない職種に一定期間だけ上乗せされる手当で、月7万円という県もあります。
ただし減り方と支給期間は県ごとにまったく違うので、金額だけを見て決めないでください。

産業動物(NOSAI):約430万円
私が地方公務員から産業動物獣医師に転職した、1年目の実額です。
結論から言うと——研修期間中は、公務員の給与より安かったです。
なぜ研修期間は安いのか
NOSAIの給与体系は公務員の給与をもとに決められているため、基本給は公務員とほぼ変わりません。
そこに診療所手当などが加わって、最終的に公務員より高くなる。これが産業動物獣医師の給与の仕組みです。
ただ、私の場合は半年間、他県の診療所で研修を受けていました。
その間は診療所手当が支給されないため、結果として公務員と変わらない給与だったんです。
1年目は当直業務もなかったため、夜間手当などの追加収入もなし。
これらを合計して、年収は約430万円でした。
2年目で一気に変わる:約580万円
産業動物は、1年目の数字だけで判断しないでください。
2年目から手当が通年支給になり、給与が一気に上がります。

ワン
研修期間さえ乗り切れば、ちゃんと稼げるようになるんですね。

ゆっけ
まさにそれ、「研修期間さえ乗り切れば、ちゃんと臨床のほうが稼げる」というのが私の実感です。
逆に言えば、1年目の給与だけ見て産業動物を選ぶのは要注意とも言えます。
北海道NOSAIは初任給30万超えの世界
産業動物獣医師の初任給は、地域や団体によって大きく違います。
人手不足が深刻な地域ほど、給与は高くなる傾向があります。
つまり北海道や離島など、産業動物の需要が大きい地域は狙い目です。
小動物臨床(動物病院):約380万円
ここは私の経験ではなく、同期や友人から聞いた実例です。
ネットだと「獣医師は高給」というイメージもありますが、1年目の小動物臨床のリアルは、想像よりシビアだそうです。
月給の内訳:みなし残業が入っている
ポイントは、「みなし残業(固定残業代)」が組み込まれているケースが多いこと。
一見すると月27万円で悪くなく見えます。でもその中に、数十時間分の残業代があらかじめ含まれている——というパターンが珍しくありません。

ゆっけ
つまり、どれだけ夜遅くまで働いても、固定分を超えないと残業代が増えないこともあるんです。
ボーナスは、院長の方針しだい
ここが公務員と決定的に違うところです。
公務員は規定どおりボーナスが出ますが、動物病院は院長の方針・業績しだい。しっかり出る病院もあれば、ほぼ出ない病院もあります。
年収は350〜450万円とブレる
大手チェーンや都市部の人気病院では1年目から450万円以上、逆に小規模個人病院だと350万円を下回ることも。
「小動物臨床=いくら」と一括りにできないほど病院差が大きいのが特徴です。
時給で見ると、さらに差が開く
同期や友人に聞くと、こんな働き方が珍しくないと言います。
- 1日12〜13時間勤務はざら
- 診療後のカルテ・連絡・勉強で帰りが遅い
- 週6日勤務の病院も多い
残業がほぼない公務員と「時給換算」で比べると、差は額面以上に開きます。
年収を比べるときは、労働時間もセットで見てください。
ただし、これはあくまで1年目の話です。
小動物臨床は、経験を積んで手術や専門領域をこなせるようになると、年収が伸びる余地が大きい世界だと言われます。短期の額面だけで判断しないことが大切です。
並べてみて分かる、3つのこと
1年目の額面は、臨床のほうが低いことがある
「臨床のほうが稼げる」は、少なくとも1年目には当てはまりません。
労働時間まで含めた時給で見ると、差はさらに開きます。
産業動物は、2年目で化ける
研修期間は手当が付かず、公務員と変わりません。
でも2年目で手当が通年になり、約580万円まで上がりました。
公務員は、自治体で年50〜100万円違う
獣医師手当と給料表しだいです。
福岡県・徳島県の特定獣医師給料表、初任給調整手当の有無は必ず確認してください。
1年目の給与で、必ず確認すること
求人票の「月給◯万円」だけでは、手取りも残業代の扱いも分かりません。入る前に、ここだけは確かめてください。
- 固定残業は何時間分か。超過分は払われるか(小動物臨床でとくに重要)
- 手当は、いつから支給されるか(産業動物は研修期間中に出ないことがある)
- ボーナスの「過去の支給実績」(「賞与あり」と書いてあっても1年目の実額は別問題)
- 獣医師手当と給料表(公務員は、ここで年50〜100万円変わる)
まとめ:額面ではなく、時給と2年目以降で見る

ゆっけ
1年目の額面は、小動物380万・産業動物430万・公務員450万。でもこの順位は、2年目以降でひっくり返ります。
産業動物は手当が通年になれば580万円まで伸びますし、小動物臨床も経験を積めば年収も働き方も変えられます。公務員は昇給が緩やかな代わりに、退職金と時間の余裕が残ります。
1年目の数字だけで、進む道を決めないでください。
年代別・分野別にどう伸びていくかは、こちらにまとめています。

ゆっけ
求人票に出ない賞与の実績や残業の実態を知りたいなら、転職エージェントに聞くのがいちばん確実です。
※ 公務員・産業動物の金額は、私が勤務していた当時の自治体・診療所での例です。給与体系は地域・年度によって大きく異なります。最新の情報は各自治体・各診療所の採用ページや NOSAI団体等 獣医師採用情報 でご確認ください。



