
ワン
ゆっけさん、いくら頑張っても給料が上がらない気がするんです。

ゆっけ
それ、あなたの頑張りが足りないからではありません。
年収が上がらないとき、多くの人は「自分の能力が足りないのかな」と考えます。
でも実際は、能力より先に決まっているものがあります。
それがどの業界で働いているかです。
この記事では、獣医師免許を持ったまま、働く場所だけを動かして年収を上げる考え方をお伝えします。
読み終えるころには、次に見るべき求人がどこにあるのかが分かるはずです。
結論:変えるのは「職種」ではなく「業界」です
先に結論をお伝えします。
年収を上げたいなら、獣医師という職種はそのままに、業界だけを変えるのが近道です。
これを「軸ずらし転職」と呼びます。
年収は「能力」ではなく「業界」で決まります。
同じ働きをしても、業界が違えば給料の上限が違うからです。

ワン
えっ、同じ獣医師なのに、そんなに変わるんですか?

ゆっけ
変わります。同じ免許を持っていても、働く場所で数百万円の差がつくことがあります。
仕事には「職種」と「業界」の2つの軸があります
まず、言葉を整理させてください。
どんな仕事にも、2つの側面があります。
- 職種:何をする人か(獣医師・営業・経理・エンジニアなど)
- 業界:どこで働くか(動物病院・製薬・食品・保険・行政など)
あなたの場合、職種は「獣医師」です。
そして業界が「動物病院」なのか「製薬会社」なのかで、条件がまったく変わります。
両方を変えると、難しくなります
転職では、この2つのうちどちらか一方だけを動かすのが基本です。
両方を同時に変えると、経験がまったく通用しなくなります。
未経験の職種で、未経験の業界。
これでは採用する側も判断できませんし、年収も下がりやすくなります。
片方を軸として残す。
これが軸ずらし転職の考え方です。
なぜ、業界で年収が変わるのか
理由はシンプルです。
給料は、その業界が生み出す利益から支払われるからです。
利益の大きい業界は、その分だけ人に配れるお金が多い。
利益の薄い業界は、どれだけ働いても配れる原資が限られます。
お客さんが「会社」か「個人」かで分かれます
業界を見分けるときの、ひとつの目安があります。
| 分類 | お客さんは誰か | 年収の傾向 |
|---|---|---|
| 法人向け | 会社や団体 | 高くなりやすい |
| 個人向け | 一般の消費者 | 抑えられやすい |
法人向けの取引は、1件あたりの金額が大きくなります。
個人向けは、1人あたりの単価に限界があります。

ゆっけ
動物病院は、飼い主さんという個人が相手です。だから単価に上限があります。
これは動物病院が悪いという話ではありません。
構造としてそうなっている、というだけの話です。
だからこそ、頑張りだけで年収を変えようとすると苦しくなります。
獣医師にとっての「軸ずらし」はこうなります
では、具体的にどこへ動かせばいいのか。
獣医師免許を持ったまま移れる業界を、年収の目安とあわせて並べます。
| 業界 | 年収の目安 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| 小動物臨床 | 約400〜500万円台 | 診察・手術・予防 |
| 産業動物臨床 | 1年目 約423〜430万円 | 往診・繁殖・衛生指導 |
| 地方公務員 | 1年目 約450万円 | 防疫・食品衛生・狂犬病予防 |
| ペット保険会社 | 約450〜600万円 | 査定・商品企画 |
| 食品・飼料メーカー | 約450〜700万円 | 品質管理・研究開発 |
| ブロイラー会社 | 約500〜800万円 | 農場の衛生管理 |
| 製薬企業 | 約500〜1000万円超 | 研究開発・薬事・安全性 |
※ 経験年数・企業規模・役割によって大きく変わります。目安としてご覧ください。

ワン
思ったより、下のほうは差がないんですね。

ゆっけ
そこが大事なところです。違うのはスタートではなく、上限のほうなんです。
どの業界も、入り口は450〜500万円あたりから始まります。
差がつくのは、そこから先です。
臨床は、経験を積んでも500万円台で頭打ちになりやすい。
企業は、役割が上がると700万・1000万と伸びる余地があります。
つまり、いまの手取りが少ないという話ではありません。
10年後にどこまで行けるかが違う、という話です。
そしてどれも、獣医師の免許と経験が活きる仕事ばかりです。
それぞれの仕事の中身は、こちらでまとめています。
獣医師免許は、業界をまたげる資格です
ここが、獣医師にとって一番の強みだと思っています。
多くの人にとって、業界を変えるのは簡単ではありません。
前の業界で培った知識が、次の業界では通用しないからです。
でも獣医師は違います。
動物と病気の知識は、業界が変わっても活かせます。
製薬でも、食品でも、保険でも、求められる役割はそれぞれ違います。
でも、その土台にあるのは同じ知識です。
臨床で診てきた症例の知識は、製薬会社では医薬品の安全性を考える土台になります。
農場で見てきた衛生管理は、食品メーカーでは品質管理の経験として読み替えられます。
行政で扱った法令の知識は、企業の薬事や品質保証の仕事につながります。
ゼロからのやり直しではありません。
同じ知識を、別の場所で使うだけです。
軸ずらし転職の進め方(3ステップ)
では、どう進めればいいのか。
順番があります。
STEP1 いきなり会社を探さない
多くの人は、求人サイトを開くところから始めます。
でも、その前にやることがあります。
業界を先に決めることです。
会社は数え切れないほどありますが、業界は10も20もありません。
先に業界を絞れば、見るべき求人が一気に減ります。
STEP2 自分の経験を「業界の言葉」に置き換える
ここが一番の関門です。
「1日20件の診察をしていました」と書いても、製薬会社の採用担当者には伝わりません。
伝えるべきは、その経験で何ができるようになったかです。
- 症例を見て原因を絞り込んだ → 情報から仮説を立てて検証できる
- 飼い主さんに治療方針を説明した → 専門知識を専門外の人に伝えられる
- 農場に衛生指導をした → 現場の実情に合わせて改善策を出せる
同じ経験でも、言葉を変えるだけで伝わり方が変わります。
書き方はこちらで詳しくまとめています。
STEP3 その業界を知っている人に聞く
自分ひとりで業界を調べるのは、限界があります。
そもそも、どんな会社があるのかを知らないからです。
私が転職エージェントに登録したとき、担当者から自分では思いつかなかった業界を提案してもらいました。
外資系の製薬会社、実験動物の管理獣医師、ペット保険会社。
どれも、自分で検索していたら一生たどり着かなかった求人です。

ゆっけ
求人を探す以前に、どんな仕事があるのかを知らない——これが企業転職でつまずく一番の理由だと思います。
実際に登録したときの記録は、こちらに残しています。
先に言っておきたい、3つの注意点
良いことばかりではありません。
正直に3つお伝えします。
① 求人は都市部に集まります
企業の本社や研究所は、都市部にあることがほとんどです。
「今の家から通える範囲で」と条件をつけると、選択肢はぐっと狭くなります。
引っ越しを含めて考えられるかどうかで、見える求人の数が変わります。
② 臨床から離れる覚悟がいります
企業に移れば、動物を診る機会はほとんどなくなります。
年収は上がっても、診療が好きだった人にはつらいかもしれません。
お金だけで決めると、あとで後悔する可能性があります。
③ 最初は年収が下がることもあります
未経験の業界に入るので、最初のポジションは高くないこともあります。
大事なのは入社時点の金額ではなく、その業界での5年後・10年後です。
伸びしろのある業界に入れば、時間が味方をしてくれます。

ワン
なんだか、ちょっと怖くなってきました…。

ゆっけ
怖いのは当然です。だからこそ、いきなり辞めずに、まず情報を集めるところから始めてください。
まとめ
- 年収は「能力」ではなく「業界」で決まる
- 職種と業界の両方を変えると難しくなる。片方だけ動かす
- 獣医師にとっての軸ずらしは、免許はそのままに働く場所を変えること
- 動物病院と企業では、年収が倍以上ちがうこともある
- 進め方は、業界を先に決める → 経験を言い換える → 詳しい人に聞く
- ただし求人は都市部に多く、臨床からは離れることになる

ゆっけ
がむしゃらに頑張る前に、立っている場所を見直してみてください。
同じ努力でも、報われる場所とそうでない場所があります。
それは、あなたの頑張りが足りないからではありません。
まずは、どんな業界があるのかを眺めるところから始めてみませんか。
年収そのものの全体像は、こちらでまとめています。













