
ワン
ゆっけさん、面接で「希望年収は?」と聞かれるのが怖くて…安く言いすぎても、高く言いすぎてもダメな気がして。

ゆっけ
その不安、正解があります——「相場を調べて、根拠と一緒に、適切なタイミングで伝える」。これだけです。
年収交渉と聞くと、「駆け引き」や「強気のバトル」を想像するかもしれません。
でも実際の年収交渉は、もっと静かで事務的なものです。
そして、交渉が苦手な人にはエージェントに代わりにやってもらうという強力な選択肢があります。
私自身、3回目の転職ではエージェント経由で条件を調整してもらい、自分の口から金額の話をほぼせずに済みました。
年収交渉を、準備→タイミング→言い方の順に解説します。
📌 この記事の結論
- 年収交渉は駆け引きではなく、「相場×根拠×タイミング」の準備で決まる
- 希望額は相場を調べてから言う(当てずっぽうが一番損)
- 伝えるベストタイミングは内定前後の条件面談(面接の序盤ではない)
- 交渉が苦手なら、エージェント経由が最も安全で効果的
結論:交渉は「準備」で9割決まる
先に、いちばん大事な結論から。
年収交渉の成否は、交渉の場のトークではなく、その前の準備でほぼ決まります。
準備とは、この3つです。
| 準備 | 中身 |
|---|---|
| ① 相場を知る | 自分の経験年数・分野の年収相場を調べる |
| ② 根拠を用意する | 「なぜその額に値するか」を経験と数字で言えるようにする |
| ③ 相手を知る | 相手の予算と、金額を決める人を確かめる。受ける下限も先に決めておく |
反対に、準備なしの「なんとなく高め」の要求は、根拠を聞かれた瞬間に崩れます。
順番に見ていきましょう。
準備①:まず、自分の「相場」を調べる
希望年収は、願望ではなく相場から決めます。
調べる方法は3つあります。
- 統計と公開情報:年代別・分野別のおおまかな相場を押さえる
- 実際の求人票:自分と同じ経験年数向けの求人を5〜10件見ると、リアルな幅が分かる
- エージェントに聞く:「私の経歴だと、いくらくらいが相場ですか?」と単刀直入に聞ける。市場を毎日見ているので一番正確です
年代別のおおまかな目安は、20代で400〜500万円、30代で500〜650万円と言われます。
分野別の詳しい相場は、こちらにまとめてあります。
調べた相場の真ん中〜やや上を「希望額」に、下限(これ以下なら断る額)を自分の中で決めておく。
この2つの数字があるだけで、交渉の不安はほとんど消えます。
準備②:金額に「根拠」をつける
同じ500万円の希望でも、伝わり方はまるで違います。
NG:「できれば500万円くらいほしいです」(願望だけ)
OK:「現職の年収が460万円で、避妊去勢は年間◯件執刀、軟部外科は一人で完結できます。この経験を評価いただき、500万円を希望します」
根拠=「現在の年収」+「できることの数字」です。
診療の実績を数字で言えるようにしておくことは、書類・面接・交渉のすべてで効いてきます。
使ってはいけない根拠が、3つあります
つい言いたくなるけれど、言った瞬間に不利になる根拠があります。
① 努力や姿勢
「誰よりも遅くまで残っています」「認定医の勉強をしています」「学会にも自費で行きました」
気持ちは痛いほど分かります。でも評価されるのは、かけた時間ではなく出た成果です。
残業の多さを根拠にすると、「効率が悪いのでは」と受け取られることすらあります。勉強も資格も、それで何ができるようになったかまで言って、はじめて根拠になります。
② ほかの人の年収
「同期のA先生は◯◯万円もらっているそうです」
これはいちばん危ない一言です。
他の人の給料が妥当かどうかを判断するのは、自分の仕事ではありません。そもそも、その金額が本当かも分かりません。
言われた側は「この人は人の給料を気にする人だ」という印象だけを持ち帰ります。
③ 自分の家庭の事情
「子どもが生まれたので」「奨学金の返済が重くて」
切実な話です。でも、病院の経営と、自分の家庭の事情は別です。
ここで情に訴えて通ると、次も情でしか判断してもらえなくなります。金額の根拠が「かわいそうだから」になってしまうからです。

ワン
3つとも、言ってしまいそうです…。

ゆっけ
全部、私も言いたくなったことがあります。言いたくなるからこそ、先に知っておいてください。
使える根拠は、結局ひとつだけです。自分が相手にどれだけの価値を出せるか。それを数字と固有名詞で示す。これに尽きます。
準備③:相手の「予算」と「決める人」を見る
ここを飛ばすと、話がまとまりません。
ない袖は振れません
どんなに正しい根拠でも、相手に払えるお金がなければ通りません。
小さな個人病院で、1人分の人件費を100万円上げるのは、経営から見ると大きな判断です。相手の規模によって、動かせる幅はまったく違います。
| 職場 | 交渉の幅 |
|---|---|
| 個人病院 | 院長の判断しだい。幅はあるが、総額の限界も近い |
| チェーン・大手 | 給与テーブルがあり、等級の中でしか動かない |
| 企業(製薬・食品など) | 前職の年収と等級から決まる。提示前の交渉が効く |
| 公務員 | 給料表で決まる。交渉の余地はない |
公務員を受けるなら、年収交渉という発想は最初から外してください。金額は条例で決まっています。
誰が決めるのかを確かめる
意外と多いのが、決める権限のない人に交渉してしまうことです。
分院長や事務長が窓口でも、給与を決めているのは本部や院長であることがあります。その場合、どれだけ丁寧に話しても「伝えておきます」で終わります。
面談の最初に「この条件は、どなたが決められますか」と聞いておくだけで、無駄が減ります。
「いくらなら受けるか」を先に決める
交渉に入る前に、自分の中で受ける金額の下限を決めておいてください。
決めずに臨むと、話が終わりません。提示が出るたびに迷い、相手も次の手を出せなくなります。
下限を決めておけば、その金額に届いたらその場で決められます。届かなければ、お礼を言って引くだけです。
このとき、年収だけで決めないのも大事です。休日・当直の回数・勤務時間のうち、自分が譲れないものを1つに絞っておく。年収が少し届かなくても、そこが満たされるなら受ける——という決め方ができます。
交渉は、勝ち負けではありません。
まとまらなかったら、静かに次を探せばいいだけです。
断られても、関係を壊さずに引き上げた人のところには、あとから声がかかることもあります。
タイミング:年収の話は「内定前後」が正解

ワン
じゃあ、その希望額って、いつ言えばいいんでしょう?1次面接で自分から…?

ゆっけ
自分から切り出すのは内定が出る直前〜内定後の「条件面談」まで待つのが定石です。
理由はシンプルで、あなたの価値が一番高く見えているのが「内定を出したい」と思われた瞬間だからです。
- 面接の序盤に自分から:まだ評価が定まっていないので、値切られやすい
- 面接で聞かれたら:正直に答えてOK(準備した「相場+根拠」で答える)
- 内定前後の条件面談:先方も「採りたい」と決めた後なので、調整に応じてもらいやすい
交渉した結果は、口約束にせず労働条件通知書(書面)で確認してください。
「聞いていた額と違う」は、書面がないと防げません。
書面で確認すべき項目は、こちらのチェックリストにまとめてあります。

実践:そのまま使える伝え方
条件面談で使える言い方を、場面別に置いておきます。
希望額を伝えるとき
「現職では年収◯◯万円をいただいています。これまでの◯◯の経験を活かして貢献できると考えており、◯◯万円を希望しますが、ご相談は可能でしょうか」
提示額が希望より低かったとき
「ありがとうございます。正直に申し上げると、◯◯万円を希望していました。難しい場合、たとえば入職後の昇給の基準を教えていただけますか」
年収以外で調整したいとき
「金額のご提示に感謝します。もし可能であれば、当直の回数を月◯回までにしていただくことはできますか」
ポイントは、どの例文も感謝→希望→相談の順になっていることです。
要求ではなく「相談」の形にすると、角が立たずに本音を伝えられます。
苦手なら:エージェントに任せるのが一番
ここまで読んで「やっぱり自分で言うのは気が重い…」と思った方へ。
それが普通の感覚です。
そして、年収交渉はエージェントに代行してもらえます。
- あなたの希望額を伝えておけば、エージェントが病院側と直接交渉してくれる
- 相場を熟知しているので、現実的で通りやすい着地点を見つけてくれる
- 自分の口から金額の話をしなくていいので、面接では仕事の話に集中できる
私も3回目の転職で初めて使い、「言い出しにくい話を全部任せられる」だけで、こんなに楽なのかと驚きました。
第三者が入ると、相手も受け入れやすい
これは使ってみて気づいたことです。
自分の口から「もう少し出してもらえませんか」と言うと、どうしても入職前から条件の話をする人という印象が少し残ります。狭い業界なので、その印象は入職後もついてきます。
ところがエージェントが間に入ると、形がこう変わります。
- 自分で言う → 「本人が強く希望している」
- エージェントが言う → 「相場ではこの水準です」
同じ金額の話でも、後者は交渉ではなく情報の確認になります。病院側も受け入れやすく、入職後の関係にも響きません。
エージェントは、あなたの年収を上げたい側にいます
もうひとつ、知っておくと安心できる話です。
エージェントの報酬は、決まった人の年収に対して何割という形で決まります。
つまり、あなたの年収が上がれば、エージェントの報酬も上がります。
- 安く決めても、エージェントは得をしない
- そもそも決まらなければ1円にもならないので、無理な金額も言わない
「本当に自分の味方になってくれるの?」と不安になる気持ちは分かります。ただ、お金の流れを見ると利害はきちんと一致しています。
エージェントの仕組みは、こちらで詳しく書いています。
エージェントの仕組みや使い方は、こちらで解説しています。
やってはいけないNG交渉
最後に、逆効果になる交渉を3つだけ。
- 他院の内定をちらつかせて煽る:「◯◯病院は550万でした」と圧をかけるのは、心証を悪くしやすい。事実として淡々と伝えるのはOK
- 根拠なく吊り上げる:「もう少し上がりませんか」の繰り返しは、入職後の信頼を削る
- 決まった後に蒸し返す:書面にサインした後の再交渉は、ほぼ通らないうえに評判に響く
- 「辞めます」をちらつかせる:いまの職場に「上げてくれないと辞めます」と迫るのは、通っても一度きり。その後は「いつ辞めるか分からない人」として扱われます
交渉のゴールは「勝つこと」ではなく、お互い納得して気持ちよく働き始めることです。
まとめ:静かな準備が、いちばん強い交渉
もう一度、結論です。
- 交渉は相場×根拠×タイミングの準備で9割決まる
- 希望額は「相場の真ん中〜やや上」+下限を決めておく
- 切り出すのは内定前後の条件面談。結果は必ず書面で確認
- 苦手ならエージェント代行が最も安全で効果的
年収を上げる方法は交渉だけではありません。
昇給・資格・転職先の選び方まで含めた全体像は、こちらでどうぞ。


ゆっけ
あなたの経験には、ちゃんと値段がついています——それを正しく伝える準備だけ、一緒にしておきましょう🐾






