
ワン
ゆっけさん、動物病院の院長先生って…やっぱり、すごく稼いでいるんでしょうか?

ゆっけ
稼いでいる院長もいれば、正直、勤務医時代より手元に残らない院長もいます——開業の年収は「平均」で語れないほど幅が大きいんです。
先に正直に書きます。
私自身は開業の経験がありません。
この記事は、公開されている情報と、開業した知人・先輩から聞いてきた話をもとに整理したものです。
「開業すれば儲かる」とも「開業はやめとけ」とも言いません。
判断材料になる数字と現実を、そのまま並べます。
📌 この記事の結論
- 開業獣医師の年収は軌道に乗れば1,000万円超も現実的。ただし幅が非常に大きい
- 開業資金は数千万円規模(テナントか、土地建物からかで大きく変わる)
- 最初の数年は借入の返済があり、勤務医時代より手取りが減る時期もある
- 開業は「収入を増やす手段」というより、「働き方を自分で決める選択」
結論:開業の年収は「上限が外れる」代わりに「保証も外れる」
いちばん大事な結論から。
開業と勤務医の違いは、平均年収の差ではありません。
「上限」と「保証」が両方外れることです。
- 勤務医:年収の上限はあるが、毎月決まった給料が保証される
- 開業医:うまくいけば勤務医の倍以上も可能。ただし、売上が落ちれば収入ゼロもあり得る
軌道に乗った病院の院長は年収1,000万〜2,000万円という話も聞きます。
一方で、返済に追われて「勤務医のほうが手取りは多かった」という時期を経験した院長も、珍しくありません。
開業資金:数千万円規模の借入からのスタート
開業には、まとまったお金が要ります。
公開されている開業支援情報などを見ると、目安はこのくらいと言われます。
| 開業スタイル | 資金の目安 |
|---|---|
| テナント開業(ビルの一角など) | 3,000万〜6,000万円程度 |
| 戸建て開業(土地・建物から) | 7,000万〜1億円超 |
内訳は、内装工事・医療機器(レントゲン・エコー・手術設備)・運転資金など。
多くの場合、この大部分を金融機関からの借入でまかない、10〜15年かけて返済していきます。
開業直後は「売上が読めないのに、返済と人件費と家賃は毎月確実に出ていく」状態になります。
最初の数年の手取りが勤務医時代を下回るのは、失敗ではなく普通の通過点と言われます。
勤務医と開業医、お金以外も比べると
年収だけでなく、働き方全体で比べるとこうなります。

ワン
診療だけしていればいい、というわけじゃないんですね…。

ゆっけ
そうなんです、開業した先輩が口を揃えて言うのは「獣医の仕事より、経営者の仕事のほうが大変」ということでした。
スタッフの採用と定着、給与計算、集客、クレーム対応、機器の投資判断。
開業とは、獣医師であると同時に中小企業の経営者になることです。
向いている人・向いていない人
知人たちの話を聞いてきた限り、分かれ目はここだと感じます。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 自分の診療方針を貫きたい人 | 診療だけに集中したい人 |
| 経営・数字の勉強が苦にならない人 | 安定した毎月の収入を最優先したい人 |
| 人を雇い、育てることに関心がある人 | 人間関係のマネジメントを避けたい人 |
| 10年単位の返済を背負う覚悟がある人 | 数年以内にライフプランが大きく動く人 |
大事なのは、「開業したいか」ではなく「経営者になりたいか」で考えることです。
開業以外にも、年収を上げる道はある
「収入を増やしたい」が動機の中心なら、開業の前に比べてほしい選択肢があります。
- 転職で年収を上げる:リスクを取らずに年収を上げる王道。相場と交渉で変わります
- 分野を変える:企業・産業動物など、分野によって年収水準は大きく違います
年収を上げる打ち手の全体像は、こちらで整理しています。
いま勤務医としての自分の相場を知りたい方は、年収まとめからどうぞ。
まとめ:開業は「稼ぐ手段」ではなく「生き方の選択」
最後に、もう一度結論です。
- 開業の年収は幅が非常に大きい(1,000万円超も、勤務医以下の時期も両方現実)
- 開業資金は数千万円規模で、多くは借入からのスタート
- 診療に加えて経営者の仕事がまるごと乗ってくる
- 動機が「収入」だけなら、転職という低リスクの選択肢を先に比べる価値がある
それでも「自分の病院をつくりたい」という気持ちが残るなら、それはきっと本物です。

ゆっけ
開業も、勤務医のままも、どちらも立派な選択です——大事なのは、数字と現実を見たうえで自分で選ぶことです🐾
小動物臨床のキャリア全体(勤務医→分院長→開業の道筋)は、こちらでも解説しています。
※ 本記事は公開情報と開業した知人・先輩の話をもとに構成しています。開業資金・年収は地域・規模・診療スタイルで大きく異なるため、実際に検討する際は開業支援の専門家や金融機関にご相談ください。






