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📌 この記事の結論
- 辞めたい理由が給与や勤務先を自分で選べないことなら、どこの自治体へ行っても同じです
- 辞めたい理由が仕事の中身・苦情対応・人間関係なら、職場が変われば変わる可能性があります
- まず、自分がどちらなのかを決める。それで答えが決まります
- 公務員の外にも、獣医師の仕事はたくさんあります
- 一度辞めても、公務員には戻れます(私が戻りました)

ワン
ゆっけさん、公務員獣医師を辞めたいって思ったこと、ありますか?

ゆっけ
あります。しかも一度、実際に辞めています。そのあと、また公務員に戻りました。
「頑張っても、給料は同じ」
「異動の希望なんて、どうせ通らない」
「この仕事を、あと30年続けるのか」
私もそう思っていました。
公務員を続けるかどうかを決めるときの、判断軸として使ってください。
結論:その不満は、職場を変えれば消えるものですか
先に結論をお伝えします。
公務員獣医師の「辞めたい」理由は、おおまかに2つに分かれます。
① 公務員という制度そのものが合わない (給与が横並び、勤務先を自分で選べない)
→ これはどこの自治体へ行っても同じです。辞める以外に解決しません。
② いまの配属が合わないだけ (仕事に飽きた、苦情対応がつらい、職場に合わない人がいる)
→ これは別の自治体や別の職場に移れば変わる可能性があります。辞めなくて済むかもしれません。
自分がどちらなのかを決めないまま辞めると、次の職場で同じことが起きます。
逆に、分けて考えると「辞めなくてよかった」と気づくこともあります。
なお、辞めたいと思っているのは、あなただけではありません。
全国で「今の仕事を辞めて別の仕事に変わりたい」と答えた人は1023万人。実際に転職したのは330万人です。
3人のうち2人は、辞めたいと思いながら働き続けています。
だからこそ、勢いで決めずに、まず何がしんどいのかを切り分けてください。
出典:総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2025年平均
辞めたくなる5つの理由を、仕分けしてみます
公務員獣医師の「辞めたい」は、だいたいこの5つに分かれます。
| しんどさ | 異動したら? |
|---|---|
| 給与が横並び | ❌ 変わらない |
| 勤務先を自分で選べない | ❌ 変わらない |
| 仕事に飽きた | ⭕️ 変わる |
| 苦情対応がつらい | ⭕️ 変わる可能性あり |
| 職場に合わない人がいる | ⭕️ 変わる可能性あり |
❌ は制度で決まっていること。どこへ異動しても同じです。
⭕️ はその職場で決まること。保健所と家畜保健衛生所では、中身がまるで違います。

自分の「辞めたい」が、左右どちらなのかを決めてください

ワン
給与と勤務先は、どこへ行っても変わらないんですね…。

ゆっけ
そうです。この2つは、公務員という制度そのものです。これが不満なら、辞める以外に解決しません。
逆に、仕事に飽きた・苦情対応がつらい・職場に合わない人がいる。この3つは、職場が変われば変わる可能性があります。
家畜保健衛生所・保健所・食肉衛生検査所では、やっている仕事の種類がまったく違います。苦情の多さも、仕事の中身も変わります。
ただし「可能性」と書いたのは、移った先でも同じことが起きる場合があるからです。確実ではありません。
自分がどっちなのか、確かめてみてください。
不満の中心が給与や勤務先を選べないことなら、辞める方向で考えていいと思います。 ここは何年勤めても、自分の努力では動かせない部分です。
仕事の中身・苦情対応・人間関係なら、異動や別の自治体で解決する可能性があります。
「辞めたくなる瞬間」そのものは、地方公務員獣医師あるあるにまとめています。
私の場合:保健所に配属されて、すぐ辞めました
私は新卒で地方公務員になりました。
希望していたのは家畜保健衛生所です。
でも、配属されたのは保健所でした。
やっていたのは、2つの仕事です。
狂犬病予防員として、犬の登録、予防注射の啓発、そして苦情対応。
食品衛生監視員として、食品に関わる許可の業務と、お店の巡回。
ただ、日々の多くを占めていたのは苦情への対応でした。
「そこで食べたものでお腹を壊した。食中毒ではないか」
「猫に餌をやっている人がいて困っている」
毎日、こういう電話を受けていました。

聴診器も動物も出てきません。日々の多くは、この机の上で終わりました
どれも暮らしを守るために必要な仕事です。やりがいを持って続けている先輩もいました。
ただ私の場合は、獣医学部で学んだ病気の知識を使う場面が、ほとんどありませんでした。
それが、保健所をすぐ辞めた理由です。
仕事の良し悪しではなく、学んできたことと、やっている仕事が噛み合わなかった。それだけです。
配属先は、面接で聞かれます
採用面接では、だいたいこう聞かれます。
「農政部と衛生部、どちらに行きたいですか」
農政部が家畜保健衛生所、衛生部が人の保健所です。

ゆっけ
私は農政部と答えました。それでも、配属されたのは衛生部でした。希望が通ることは、少ないです。
結局のところ、そのとき人事に空きがあるかどうかで決まります。
勤務先を自分で選ぶのは、かなり厳しいと思っておいたほうがいいです。
ただし、山梨県は入庁時にどちらへ配属されるかを選べます。
自治体によって仕組みが違うので、受ける前に確認してみてください。
待っていても変わらないと分かった
配属されたあとも、面談のたびに「家畜保健衛生所に異動したい」と伝えていました。
それでも、異動することはありませんでした。
農政部と衛生部のあいだの異動は、ほとんどないからです。
最初に保健所へ配属されると、そのまま保健所系で公務員人生が進んでいきます。
ただし、まったく道がないわけではありません。
私が働いていた自治体には人事交流制度があり、農政部と衛生部の職員が、期限つきで相手の部署へ異動する仕組みがありました。保健所から家畜保健衛生所へ移れる、数少ないルートです。
さらに、仮に人事交流で選ばれたとしても、私のいた県は3年で異動する決まりでした。
つまり異動が通っても、数年後にはまた保健所に戻ることになります。
待ち続けて、それでも通らなかったときのことを考えました。
そして、辞める決断をしました。
そこから産業動物臨床(NOSAI)に移りました。
そして、公務員に戻りました
産業動物で5年働いたあと、私は公務員試験を受け直して、家畜保健衛生所に入りました。
一度辞めた場所に、戻ったことになります。
公務員は、一度辞めても入り直せます。獣医師が足りていないからです。

保健所を2年で辞め、産業動物を5年。そのあと公務員に戻りました
戻って分かったこと
家保の仕事は「現場5割・検査室3割・デスクワーク2割」でした。
家畜の伝染病検査、病性鑑定、農場の立入指導。
臨床のフィールド感と、行政の視点が両方あります。
私にはピタッとハマる職場でした。
つまり、こういうことです。
私が嫌だったのは「公務員」ではなく、保健所という配属でした。
同じ公務員でも、職場が変われば毎日はまったく違いました。
だからこそ、この記事の冒頭に書いた切り分けが大事なんです。
家畜保健衛生所がどんな職場かは、1日の流れにまとめました。
いま家保にいて辞めたいなら、原因は防疫の比重かもしれません。そこは異動しても変わらない部分です。

一度辞めても、戻れます
これが、公務員獣医師のいちばん強いところだと思っています。
獣医師不足で、地方公務員の採用は年齢の門戸が広がっています。
60歳前後まで受験できる自治体が過半数です。
しかも、産業動物の臨床経験があると、家畜保健衛生所に配属される可能性が高いです。
私がまさにそうでした。

ワン
一回辞めても、やり直せるんですね。

ゆっけ
そうなんです。「戻れる場所がある」と思えるだけで、判断が軽くなります。
戻る前提で考えるなら、公務員獣医師になるにはで試験と採用の全体像を見ておいてください。
辞めたら、年収は下がるのか
ここが、いちばん気になるところだと思います。
「公務員を辞めたら生活が苦しくなる」と、よく言われます。
私の場合を書きます。
転職のたびに、少しずつ上がりました。
保健所 → 産業動物臨床 → 家畜保健衛生所 → 現在。
3回転職して、下がったことはありません。
横ばいだったことはありますが(笑)。
ただし、これは職種の組み合わせと時期にもよります。
「転職すれば必ず上がる」とは言えません。
大事なのは、転職が年収を下げるとは限らないという事実のほうです。
「辞めたら下がる」という前提だけで判断しないでください。
とはいえ、ボーナスと退職金は公務員が手厚いのも事実です。
生涯で見たときの比較は、こちらにまとめています。
公務員の外にも、獣医師の仕事はたくさんあります
獣医師免許でできる仕事は、動物病院と公務員だけではありません。
製薬会社、食品メーカー、飼料メーカー、ペット保険会社、競馬関係、動物園・水族館、大学、検疫所。
思っているより、行き先は多いです。
ここでは、公務員から移りやすい順に書きます。

行き先は大きく4つ。私が経験したのは、このうち産業動物臨床だけです
① 別の自治体・別の職場に移る
公務員を続けたいなら、これが現実的です。
受け直しにはなりますが、臨床経験や実務経験があると評価されます。
「公務員は嫌じゃない。いまの配属が合わない」という人には、いちばん近い道です。
② 産業動物臨床(NOSAI など)
せっかく獣医師になったのだから、一度は臨床を経験してみるのもいいと思います。
私も、ここで産業動物の臨床をしました。
動物に毎日触れられます。手技も身につきます。
ただし、当直と体力の問題はついて回ります。
仕事の中身は産業動物臨床という働き方に、しんどさのほうはNOSAIを辞めたい獣医師へにまとめています。
③ 企業(製薬・飼料・食品・畜産関連)
年収を上げたいなら、ここが本命です。
公務員で身につけた知識のなかで、企業がいちばん求めるのは検査の知識です。
製薬会社にも食品メーカーにも、検査の部署があります。
そこで「検査を分かっている獣医師」は、そのまま戦力になります。
公務員から民間に移るのは不利な面もあります。
スピード感が違いますし、利益を出すという発想にも慣れが要ります。
そこを「やってみよう」と思える方なら、道は開けます。
公務員は給与が横並びで、上限も決まっています。
企業なら、役割が上がると700万・1000万と伸びる余地があります。

④ そのほかにも、まだあります
上の3つ以外にも、獣医師が働いている場所はあります。
- ペット保険会社(保険金の査定・商品開発)
- 製薬企業(研究開発・管理獣医師・MR)
- 食品・飼料メーカー(品質管理・技術サポート)
- 競走馬の獣医師(JRA・地方競馬・生産地)
- 動物園・水族館
- 国家公務員(農水省・動物検疫所・厚労省)
「公務員か、動物病院か」の2択で考えなくて大丈夫です。
さらに「獣医師を続けるかどうか」から考えたい方へ。獣医師以外の選択肢まで含めて、3段階で整理しています。

辞める前にやっておきたい3つのこと
勢いで辞める前に、3つだけやってください。
あとが、ぜんぜん違います。
どんなことをしていたかを振り返る
年間で何件の検査をしたか。どんな病性鑑定をしたか。何件の農場を回ったか。
公務員の仕事は「成果が見えにくい」と言われますが、書き出すと意外と多いはずです。
これが、そのまま職務経歴書になります。
生活費を書き出して、半年分を貯める
まず、1年間の生活費を紙に書き出してみてください。家賃・食費・保険・車・教育費。数字が出ると、辞める辞めないの話が急に現実的になります。
そのうえで、半年分を貯めてから動く。お金に余裕がないと、最初に出た内定に飛びついてしまいます。
断れる状態でいることが、良い転職の前提になります。
引き継ぎを雑にしない
獣医師業界は狭いです。
特に地方だと、県をまたいでも顔見知りがいます。
去り際の印象は、次の職場にも届きます。
なお、地方公務員ではなく国家公務員という道もあります。
国家公務員については、国家公務員の獣医師になるにはで解説しています。
どんな求人があるかは、見るだけならすぐに確かめられます。
登録の流れは、実際にやってみた記録があります ▶ JACリクルートメントに獣医師が登録した記録
よくある質問
Q「石の上にも三年」と言いますが、数年は我慢したほうがいい?
制度で決まっていることは、3年待っても変わりません。給与表も、異動の決まり方もそのままです。
一方で、配属が合わないだけなら、異動で変わる可能性はあります。我慢する意味があるかどうかは、上の仕分けで判断できます。
Q一度辞めたら、もう公務員には戻れない?
戻れます。私が戻りました。
獣医師が足りていないので、60歳前後まで受験できる自治体が過半数です。
Q公務員しか経験がなくても、民間に行ける?
行けます。いちばん武器になるのは検査の知識です。製薬会社にも食品メーカーにも、検査の部署があります。
ただし、不利な面もあります。公務員と民間では、仕事のスピードも、求められる考え方も違います。そこに慣れる気があるかどうかが、分かれ目になります。
Q辞めたら退職金はもらえる?失業保険は?
退職金は出ます。ただし公務員は雇用保険に入っていないので、失業給付は出ません。ここは勘違いしやすいところです。
退職手当が失業給付の水準に届かない場合は、差額が支給される仕組みがあります(手続きはハローワークです)。
いずれにしても、辞める前に生活費の半年分は用意しておいたほうが安全です。
Q親や家族に反対されそうで、言い出せない
反対されるのは、心配されているからです。「どこへ行くか」と「お金がどうなるか」を数字で示すと、話が変わります。
転職先の候補と、そこでの年収と、貯金がいくらあるか。この3つを並べて話してみてください。
Q辞めたこと、後悔しませんでしたか?
私はしていません。ただ、戻ってきたのも事実です。一度出たから、公務員の良さも分かりました。
辞めた人がみんな正解だったとは思いません。でも、辞めても戻れると知っているかどうかで、いまの職場との向き合い方は変わります。
お金の準備は、こちらにまとめました。
それでも決められないときは
「辞めたい」と「辞めるべきか」は別の問題です。
判断の軸そのものは、獣医師が仕事を辞めるべきかに書いてあります。

ゆっけ
そして、もし「もう限界かもしれない」と感じているなら、その判断は後回しでかまいません。
先に休んでください。
体と心を守ることのほうが、キャリアより先です ▶ 今つらい獣医師へ|「もう限界かも」と思ったら読む
まとめ:離れたいのは「職場」ですか、「公務員という働き方」ですか
保健所を辞めて、産業動物の現場を経験し、私はまた公務員として家畜保健衛生所で働きました。
同じ公務員でも、仕事の中身はまったく違いました。
だから、「公務員を辞めたい」という気持ちを、もう一段だけ分けてみてください。
離れたいのは、いまの職場でしょうか。それとも、公務員としての働き方そのものでしょうか。
今日やることは、辞めるかどうかを決めることではありません。
「次の職場では変えたいこと」を、ひとつだけ書いてみてください。
それが、異動を調べるのか転職を調べるのかの、分かれ目になります。
私の3回の転職は、こちらに全部書きました。






