
ワン
ゆっけさん、公務員獣医師を辞めたいって思ったこと、ありますか?

ゆっけ
あります。しかも一度、実際に辞めています。そのあと、また公務員に戻りました。
給与は年次で横並び。異動の希望は通らない。仕事は毎年同じ。
「このまま定年までなのかな」と思う日は、誰にでもあります。
この記事では、私が辞めるまでに考えたことと、辞めたあとに見えたことを書きます。
結論:「公務員が嫌」なのか「いまの配属が合わない」のかを分ける
先に結論をお伝えします。
公務員獣医師の「辞めたい」の多くは、公務員という働き方そのものではなく、 いま配属されている職場が合っていないだけ、というケースがあります。
ここを分けないまま辞めると、次の職場でも同じことが起きます。
逆に、分けて考えれば「辞めなくても解決する」と気づくこともあります。
辞めたくなる5つの理由を、仕分けしてみます
私が感じたもの、同僚から聞いたものを並べると、こうなります。
| しんどさ | 配属や自治体を変えれば? |
|---|---|
| 給与が年次で横並び | 変わらない。公務員である限り同じ |
| 年功序列で決まる | 変わらない |
| 異動の希望が通らない | 変わらない。制度そのもの |
| 仕事がルーティンで飽きる | 変わる。職場によって中身がまるで違う |
| 住民からの理不尽な電話 | 変わる。保健所と家畜保健衛生所で大きく違う |

ワン
上の3つは、どこへ行っても変わらないんですね…。

ゆっけ
そうです。給与と異動は、公務員という制度そのものです。ここが不満の中心なら、辞める以外に解決しません。
逆に、下の2つは職場が変われば本当に変わります。
家畜保健衛生所・保健所・食肉衛生検査所では、毎日の中身がまったく違います。
「辞めたくなる瞬間」そのものは、こちらにまとめています。
私の場合:保健所に配属されて、すぐ辞めました
私は新卒で地方公務員になりました。
希望していたのは家畜保健衛生所です。
でも、配属されたのは保健所でした。
狂犬病予防員として、犬の登録・予防注射の啓発・苦情対応を担当しました。
異動希望は、通りませんでした
配属ガチャ、という言葉があります。
地方公務員には数年ごとに異動があり、希望は「異動希望調書」に書いて出します。
でも、希望はほぼ通りません。
しかも、農政部と公衆衛生部のあいだで異動することは、ほとんどありません。
つまり最初に保健所へ配属されると、そのまま保健所系で公務員人生が進んでいきます。
待っていても変わらないと分かった
「数年待てば家保に行けるかもしれない」とは、思えませんでした。
制度上、その道が細いと分かってしまったからです。

ゆっけ
待ち続けて、それでも通らなかったときのことを考えて、辞める決断をしました。
そこから産業動物臨床(NOSAI)に移りました。
そして、公務員に戻りました
産業動物で5年働いたあと、私は公務員試験を受け直して、家畜保健衛生所に入りました。
一度辞めた場所に、戻ったことになります。
戻って分かったこと
家保の仕事は「現場5割・検査室3割・デスクワーク2割」でした。
家畜の伝染病検査、病性鑑定、農場の立入指導。
臨床のフィールド感と、行政の視点が両方あります。
私にはピタッとハマる職場でした。
つまり、こういうことです。
私が嫌だったのは「公務員」ではなく、保健所という配属でした。
同じ公務員でも、職場が変われば毎日はまったく違いました。
だからこそ、この記事の冒頭に書いた切り分けが大事なんです。
家畜保健衛生所の1日は、こちらに書きました。
一度辞めても、戻れます
これが、公務員獣医師のいちばん強いところだと思っています。
獣医師不足で、地方公務員の採用は年齢の門戸が広がっています。
60歳前後まで受験できる自治体が過半数です。
しかも、臨床経験があると家畜保健衛生所に配属される可能性が高い。
私がまさにそうでした。

ワン
一回辞めても、やり直せるんですね。

ゆっけ
そうなんです。「戻れる場所がある」と思えるだけで、判断が軽くなります。
辞めたあとの、現実的な3つの行き先
① 別の自治体・別の職場に移る
公務員を続けたいなら、これが現実的です。
受け直しにはなりますが、臨床経験や実務経験があると評価されます。
「公務員は嫌じゃない。いまの配属が合わない」という人には、いちばん近い道です。
② 産業動物臨床(NOSAI など)
現場に戻りたいなら、ここです。
私が最初に選んだのがこの道でした。
動物に毎日触れられます。手技も身につきます。
ただし、当直と体力の問題はついて回ります。
産業動物側のしんどさは、こちらに正直に書いています。
③ 企業(製薬・飼料・食品・畜産関連)
年収を上げたいなら、ここが本命です。
公務員で身につけた防疫・検査・行政の知識は、企業でも評価されます。
特に、法令や申請まわりが分かる獣医師は重宝されます。
公務員は給与が横並びで、上限も決まっています。
企業なら、役割が上がると700万・1000万と伸びる余地があります。
辞める前にやっておきたい3つのこと

ゆっけ
勢いで辞める前に、3つだけやってください。あとがぜんぜん違います。
① どんなことをしていたかを振り返る
年間で何件の検査をしたか。どんな病性鑑定をしたか。何件の農場を回ったか。
公務員の仕事は「成果が見えにくい」と言われますが、書き出すと意外と多いはずです。
これが、そのまま職務経歴書になります。
② 生活費の半年分を貯める
お金に余裕がないと、最初に出た内定に飛びついてしまいます。
断れる状態でいることが、良い転職の前提になります。
③ 引き継ぎを雑にしない
獣医師業界は狭いです。
特に地方だと、県をまたいでも顔見知りがいます。
去り際の印象は、次の職場にも届きます。
それでも決められないときは
「辞めたい」と「辞めるべきか」は別の問題です。
判断の軸そのものは、こちらに書いてあります。

ゆっけ
そして、もし「もう限界かもしれない」と感じているなら、その判断は後回しでかまいません。
先に休んでください。
体と心を守ることのほうが、キャリアより先です ▶ 今つらい獣医師へ|「もう限界かも」と思ったら読む
まとめ
- 「公務員が嫌」なのか「いまの配属が合わない」のかを、先に分ける
- 給与・年功序列・異動は、公務員である限り変わらない
- 仕事の中身・住民対応は、職場が変われば大きく変わる
- 私は保健所が合わずに辞め、産業動物を経て家畜保健衛生所に戻った
- 行き先は主に3つ。別の自治体/産業動物臨床/企業
- 辞める前に、やってきたことの振り返り・生活費の半年分・丁寧な引き継ぎ

ゆっけ
私は一度辞めて、また戻りました。公務員は、出ていっても戻ってこられる場所です。
その事実を知っているだけで、いまの職場との向き合い方が少し変わります。
私の3回の転職は、こちらに全部書きました。














