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📌 この記事の結論
- 「辞めたい」と思ったら、まずしんどさの中身を切り分ける
- 当直の回数・休み・農家さんとの相性は、県や診療所を変えれば変わる
- ただし当直そのものは、産業動物臨床でいる限り避けられない
- 転職先は主に別の県・診療所/公務員/企業の3つ

ワン
ゆっけさん、NOSAIを辞めたいって思ったこと、ありますか?

ゆっけ
何度もあります。実際、5年で辞めました。
夜中の当直。真夏の牛舎。なかなか取れない休み。
ただ、しんどいのは体力のことだけではありません。
担当する農家さんとの相性もあれば、診療所のなかの人間関係もあります。
当直の回り方ひとつで、生活のリズムはまるごと変わります。
「このまま続けられるのかな」と思う日は、誰にでもあります。
この記事では、私が辞めるまでに考えたことと、辞めたあとの転職先を書きます。
結論:辞めるかどうかより、「何がしんどいのか」を先に切り分ける
先に結論をお伝えします。
「NOSAIを辞めたい」と思ったとき、多くの人はすぐ「辞めるかどうか」を考えます。
でも、その前にやることがあります。
まず、しんどさの中身を切り分けます。
それが職場を変えれば解決することなのか、産業動物臨床そのものの性質なのか。
ここを分けないまま動くと、移った先でも同じことが起きます。
ちなみに、「辞めて別の仕事に変わりたい」と答えている人は全国に1023万人います。実際に動いたのは330万人。
3人に2人は、しんどいまま続けています。
どちらが正しいという話ではありません。ただ、切り分けないまま我慢し続けるのがいちばんつらい、というだけです。
出典:総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2025年平均
しんどさは、だいたい5つのどれかです
しんどさの中身を調べていくと、だいたいこの5つに整理できます。
| しんどさ | 職場を変えれば? |
|---|---|
| 当直・夜間の呼び出し | 診療所によって回数が違う |
| 体力的にきつい | 産業動物である限り、ついて回る |
| 農家さんとの相性 | 担当エリアが変われば変わる |
| 給料が上がりにくい | 県や診療所で差がある。診療所手当などで上限も変わる |
| 休みが取りにくい | 人員の多い診療所なら改善する |


ワン
「職場を変えれば解決する」ものと、そうでないものがあるんですね。

ゆっけ
ただし産業動物臨床でいる限り、当直そのものを避けることはできません。回数が変わるだけです。
その当直の回数や休みの取りやすさは、県や診療所の規模で本当に変わります。
人数が少ない診療所ほど、1人あたりの当直が回ってきます。
だから「NOSAIが嫌」ではなく「今の診療所が合わない」だけ、というケースは珍しくありません。
「辞めたくなる瞬間」そのものは、こちらにまとめています。
私が5年で辞めた理由
辞めた理由は、当直の回数が増えて、家族と休みが合わなくなったことです。
私のいた診療所には、年配の先生が勤務していました。
その先生は当直から外れていて、所長も事務作業が忙しく、そもそも当直に入る回数が少ない状況でした。
その分、下の職員に当直が回ってきます。
気づけば、出勤日がほぼ当直勤務という状態になっていました。
きついのは、呼ばれることより「気を張り続けること」
夜中や朝方に実際に呼ばれることは、そこまで多くありません。
きついのは、そこではありませんでした。
当直中は家に帰っても、携帯が鳴るのをずっと気にしていなければなりません。
お風呂に入っているときに、呼び出しが来ることもあります。
テレビドラマで着信音が鳴っただけで、「呼ばれた」とビクッとする。
それくらい、ずっと気が張っていたのだと思います。
家族のことが重なった
もうひとつ、決め手になったことがあります。
下の子が入院することになり、しばらく上の子2人と過ごす時期がありました。
その間は、当直を外してもらいました。
子どもが急に熱を出して、休むことも増えました。
そのたびに、職場に迷惑をかけることになります。

ゆっけ
働き方を変えないと、この先も同じことが起きる——そう思いました。
臨床という仕事そのものは、好きでした。
農家さんが喜んでくれるのを、直に見ることができるからです。
なお、NOSAIという組織そのものについては、こちらに書いています。

辞めたあと、次の転職先はどこになるのか
「辞めたあと、どうするのか」がいちばん不安だと思います。
私の周りを見てきた実感では、転職先は大きく3つです。
① 別の県・別の診療所に移る
産業動物を続けたいなら、これが最短です。
同じNOSAIでも、県が違えば当直の回数も人員体制もまったく違います。
「牛は診たい。でも今の働き方はきつい」という人には、いちばん現実的な選択肢です。
獣医師免許とこれまでの経験がそのまま使えるので、条件面でも不利になりません。
② 公務員(家畜保健衛生所)
私が選んだのがここです。
家畜保健衛生所は、家畜の伝染病検査・病性鑑定・農場の立入指導が仕事です。
産業動物の知識がそのまま活きます。
そして、当直がありません。
| 変わること | 中身 |
|---|---|
| 夜間の呼び出し | なくなる |
| 生活のリズム | 安定する |
| 仕事の中身 | 診療から、検査と行政へ |
| 年収 | 1年目は下がることもあるが、長期では上がりやすい |
「動物に触れる時間が減る」のは事実です。
そこを許容できるかが、分かれ目になります。
配属先は希望どおりにいかないこともあります。
ただ、臨床の経験があると、家畜保健衛生所に配属される可能性は高いです。
牛を診てきた経験が、そのまま評価される場所だからです。
家畜保健衛生所の1日は、こちらに書きました。

なお、その公務員側にもしんどさはあります。両方を経験した立場で書きました。
公務員になる方法は、この1本にまとめています。
③ 企業(製薬・飼料・畜産関連)
年収を上げたいなら、ここが本命です。
製薬会社の管理獣医師、飼料メーカーの技術サポート、畜産関連企業。
どれも、産業動物の現場を知っている獣医師を求めています。
農家さんと話せること、牛の現場が分かること。
これは、現場にいた人にしかない強みです。
企業は、職種を変えずに業界だけ動かす転職になります。
臨床で500万円台が上限になりやすいのに対し、企業は700万・1000万と伸びる余地があります。
この考え方は、こちらで詳しく書いています。

なお、獣医師の免許を使わない道まで含めた3段階の整理も、別にまとめています。
辞める前にやっておきたい3つのこと

ワン
勢いで辞めちゃだめですか?

ゆっけ
気持ちは分かりますが、3つだけ先にやってください。あとがぜんぜん違います。
どんなことをしていたかを振り返る
1日何件まわっていたか。どんな病気を診てきたか。手術や繁殖で、できることは何か。
書き出してみると、意外とやってきたことが多いと気づきます。
これが、そのまま職務経歴書になります。
生活費の半年分を貯める
お金に余裕がないと、最初に出た内定に飛びついてしまいます。
断れる状態でいることが、良い転職の前提になります。
引き継ぎを雑にしない
獣医師業界は狭いです。特に産業動物は、なおさら狭い。
私も、昔いっしょに働いていた先生と顔を合わせることが何度もあります。
去り際の印象は、次の職場にも届きます。
実際にどんな求人があるかは、見るだけならすぐに確かめられます。
登録の流れは、実際にやってみた記録があります ▶ JACリクルートメントに獣医師が登録した記録
それでも決められないときは
「辞めたい」と「辞めるべきか」は別の問題です。
判断の軸そのものは、こちらに書いてあります。


ゆっけ
そして、もし「もう限界かもしれない」と感じているなら、その判断は後回しでかまいません。
先に休んでください。
体と心を守ることのほうが、キャリアより先です ▶ 今つらい獣医師へ|「もう限界かも」と思ったら読む
まとめ:辞めても、牛を診てきた経験は持っていける
- 「辞めたい」と思ったら、まずしんどさの中身を切り分ける
- 当直の回数・休み・農家さんとの相性は、県や診療所を変えれば変わる
- ただし当直そのものは、産業動物臨床でいる限り避けられない
- 転職先は主に3つ。別の県・診療所/公務員/企業
- 辞める前に、やってきたことの振り返り・生活費の半年分・丁寧な引き継ぎ

ゆっけ
NOSAIでの5年は、いまでも私の土台です。辞めても、経験は持っていけます。
牛を診てきた時間は、どこへ行っても無駄になりません。
転職の進め方そのものは、こちらからどうぞ。





