
ワン
ゆっけさん、NOSAIを辞めたいって思ったこと、ありますか?

ゆっけ
何度もあります。実際、5年で辞めました。
夜中の当直、真夏の牛舎、なかなか取れない休み。
「このまま続けられるのかな」と思う日は、誰にでもあります。
この記事では、私が実際に辞めるまでに考えたことと、辞めたあとの行き先を正直に書きます。
結論:辞めるかどうかより、「何がしんどいのか」を先に切り分ける
先に結論をお伝えします。
「NOSAIを辞めたい」と思ったとき、いきなり辞める・辞めないを決めないでください。
まず、しんどさの中身を切り分けます。
それが職場を変えれば解決することなのか、産業動物臨床そのものの性質なのか。
ここを分けないまま動くと、移った先でも同じことが起きます。
しんどさは、だいたい5つのどれかです
私が感じたもの、同期から聞いたものを並べると、こうなります。
| しんどさ | 職場を変えれば? |
|---|---|
| 当直・夜間の呼び出し | 診療所によって回数が違う。減らせることはある |
| 体力的にきつい | 産業動物である限り、ついて回る |
| 農家さんとの相性 | 担当エリアが変われば変わる |
| 給料が思ったより上がらない | 組合によって差がある。ただし上限は似ている |
| 休みが取りにくい | 人員の多い組合なら改善する |

ワン
「職場を変えれば解決する」ものと、そうでないものがあるんですね。

ゆっけ
そこが分かれ目です。体力の問題だけは、どこへ行っても消えません。
当直の回数や休みの取りやすさは、組合や診療所の規模で本当に変わります。
人数が少ない診療所ほど、1人あたりの当直が回ってきます。
だから「NOSAIが嫌」ではなく「今の診療所が合わない」だけ、というケースは珍しくありません。
「辞めたくなる瞬間」そのものは、こちらにまとめています。
私が5年で辞めた理由
正直に書きます。
私の場合は、体力と、生活のリズムでした。
夏は炎天下の牛舎で手術をして、冬は氷点下の分娩に呼ばれる。
夜中に電話が鳴る生活を、この先も続けられるかと考えたときに、答えが出ませんでした。
牛の診療そのものは好きでした。

ゆっけ
嫌になって辞めたわけではありません。好きなままで、続け方を変えたという感覚に近いです。
もうひとつ、大きかったのが先が見えたことです。
10年後の自分の働き方が、いまの先輩を見れば分かってしまう。
それが悪いことだとは思いません。
ただ、私はもう少し違う景色を見たいと思いました。
NOSAIを辞めた人の、現実的な3つの行き先
「辞めたあと、どうするのか」がいちばん不安だと思います。
私の周りを見てきた実感で、行き先は大きく3つです。
① 別の組合・別の診療所に移る
産業動物を続けたいなら、これが最短です。
同じNOSAIでも、組合が違えば当直の回数も人員体制もまったく違います。
「牛は診たい。でも今の働き方はきつい」という人には、いちばん現実的な選択肢です。
獣医師免許とこれまでの経験がそのまま使えるので、条件面でも不利になりません。
② 公務員(家畜保健衛生所・食肉衛生検査所)
私が選んだのがここです。
家畜保健衛生所は、家畜の伝染病検査・病性鑑定・農場の立入指導が仕事です。
産業動物の知識がそのまま活きます。
そして、当直がありません。
| 変わること | 中身 |
|---|---|
| 夜間の呼び出し | なくなる |
| 生活のリズム | 安定する |
| 仕事の中身 | 診療から、検査と行政へ |
| 年収 | 1年目は下がることもあるが、長期では上がりやすい |
「動物に触れる時間が減る」のは事実です。
そこを許容できるかが、分かれ目になります。
家畜保健衛生所の1日は、こちらに書きました。
公務員になる方法は、この1本にまとめています。
③ 企業(製薬・飼料・畜産関連)
年収を上げたいなら、ここが本命です。
製薬会社の管理獣医師、飼料メーカーの技術サポート、畜産関連企業。
どれも、産業動物の現場を知っている獣医師を求めています。
農家さんと話せること、牛の現場が分かること。
これは、現場にいた人にしかない強みです。
企業は、職種を変えずに業界だけ動かす転職になります。
臨床で500万円台が上限になりやすいのに対し、企業は700万・1000万と伸びる余地があります。
この考え方は、こちらで詳しく書いています。
辞める前にやっておきたい3つのこと

ワン
勢いで辞めちゃだめですか?

ゆっけ
気持ちは分かりますが、3つだけ先にやってください。あとがぜんぜん違います。
① 診療件数と経験を書き出しておく
1日何件まわっていたか。年間で何頭診たか。手術や繁殖でできることは何か。
NOSAIを辞めたあと、これがそのまま職務経歴書になります。
辞めてからでは思い出せません。在職中に書き出してください。
② 生活費の半年分を貯める
お金に余裕がないと、最初に出た内定に飛びついてしまいます。
断れる状態でいることが、良い転職の前提になります。
③ 引き継ぎを雑にしない
獣医師業界は狭いです。特に産業動物は、なおさら狭い。
去り際の印象は、次の職場にも届きます。
それでも決められないときは
「辞めたい」と「辞めるべきか」は別の問題です。
判断の軸そのものは、こちらに書いてあります。

ゆっけ
そして、もし「もう限界かもしれない」と感じているなら、その判断は後回しでかまいません。
先に休んでください。
体と心を守ることのほうが、キャリアより先です ▶ 今つらい獣医師へ|「もう限界かも」と思ったら読む
まとめ
- 「辞めたい」と思ったら、まずしんどさの中身を切り分ける
- 当直・休み・農家さんとの相性は、職場を変えれば変わる
- 体力の問題だけは、産業動物である限りついて回る
- 行き先は主に3つ。別の組合/公務員/企業
- 辞める前に、診療件数の書き出し・生活費の半年分・丁寧な引き継ぎ

ゆっけ
NOSAIでの5年は、いまでも私の土台です。辞めても、経験は持っていけます。
牛を診てきた時間は、どこへ行っても無駄になりません。
転職の進め方そのものは、こちらからどうぞ。













