
ワン
ゆっけさん、今の給料は何とかなってるんですけど、このまま働き続けて大丈夫なのか不安で…。
その不安、とても健全だと思います。
先に結論をお伝えすると、獣医師の生涯年収は働く場所によって5,000万円ほど変わる可能性があります。
差を生むのは、月給そのものではありません。昇給カーブ・退職金・年金という3つの仕組みです。
私は公務員と産業動物の両方を経験し、給与明細と退職金の制度を実際に見てきました。
読み終えるころには、「今いくらもらえるか」ではなく「働き終えるまでにいくら残るか」で職場を比べられるようになります。
📌 この記事の結論
- 生涯年収の差を生むのは昇給カーブ・退職金・年金の3つ
- 公務員は40代以降に伸びる。若いうちの差だけで判断しない
- 動物病院は退職金制度がない職場もある
- 老後の備えは、制度の有無を転職前に確認するのがいちばん確実
結論:差がつくのは「月給」ではなく「積み上がり方」
同じ獣医師でも、生涯で手にする金額はかなり違います。
理由はシンプルで、1年目の差より、30年かけて積み上がる差のほうがずっと大きいからです。
新卒1年目の年収差は、せいぜい年50万円ほど。
でも、40代・50代の昇給幅と退職金の有無まで含めると、差は数千万円単位になります。
生涯年収の概算:3つの働き方で比べる
まず、ざっくりした全体像から見てみましょう。
※ 当サイトで扱っている分野別・年代別の年収相場をもとにした単純計算の目安です。役職・地域・勤務先によって大きく変わります。
数字だけ見ると、公務員が有利に見えます。
ただし、これは「定年まで勤め上げた場合」の話です。
途中で働き方を変えれば、当然この通りにはなりません。
ここで大事なのは、順位そのものではありません。
「なぜ差がつくのか」を知っておくと、自分の職場を判断する材料になります。
差を生む理由①:昇給カーブの形が違う
いちばん大きいのが、年齢とともに給料がどう上がっていくかです。
小動物臨床は、20代のうちは公務員と大差ありません。
むしろ、勤務先によっては臨床のほうが高いこともあります。
問題は、その先です。
動物病院は組織が小さいため、上のポストが空きにくい。
昇給の原資も院長の裁量に左右されるので、40代で伸び悩むケースが少なくないと言われます。
一方の公務員は、年功序列で毎年着実に上がります。
派手さはありませんが、40代・50代で効いてきます。

ゆっけ
20代の差だけを見て「臨床のほうが稼げる」と判断すると、あとで景色が変わります。
差を生む理由②:退職金があるかどうか
次に大きいのが、退職金です。
ここは制度が「ある職場」と「ない職場」で、はっきり分かれます。
動物病院のなかには、退職金制度そのものがない職場があります。
求人票に書かれていないことも多いので、面接や内定後に必ず確認してください。
公務員なら、定年まで勤めれば2,000万円前後が見込めます。
これは、月給に換算すれば毎月5万円ずつ積み立てているのと同じくらいのインパクトです。
「今の月給が3万円高い職場」と「退職金がある職場」なら、後者のほうが生涯では有利になることもあります。
退職金の詳しい相場は、こちらでまとめています。
差を生む理由③:年金のしくみが違う
意外と見落とされるのが、老後に受け取る年金です。
働き方によって、加入する制度が変わります。
いちばん差が出るのは、開業した場合です。
個人事業主になると、原則として国民年金だけになります。
現役時代の収入は高くても、老後に受け取れる公的年金は勤務医より少なくなる、という逆転が起こり得ます。

ワン
開業したほうが稼げると思っていました…。

ゆっけ
現役時代の収入と、老後に残るお金は別ものなんです。
もちろん、開業には自分で備える手段(小規模企業共済など)も用意されています。
大切なのは、制度の違いを知ったうえで選ぶことです。
具体的な資産形成の方法は、人によって最適解が変わります。
金額の設計は、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談してください。
転職前に確認したい、お金の4項目
生涯で見たときの損得は、入職前にある程度わかります。
面接や内定後に、次の4つを確認してください。
退職金制度の有無
昇給の実績
社会保険の加入状況
役職者の年収
とくに④は、聞きにくいけれど効果が大きい質問です。
「将来のキャリアイメージを持ちたいので」と前置きすれば、失礼にはなりません。
答えをはぐらかされる職場は、それ自体が判断材料になります。
💡 内定後に確認すべき項目は 内定後の労働条件チェックリスト にまとめています。お金の話は、口約束ではなく書面で確認してください。
それでも、金額だけで決めなくていい
ここまで数字の話をしてきましたが、最後に大事なことを。
生涯年収がいちばん高い職場が、あなたにとっていちばん良い職場とは限りません。
体を壊してしまえば、その先の年収はゼロになります。
家族と過ごす時間や、続けられる働き方には、金額に換算できない価値があります。

ゆっけ
数字は判断材料のひとつであって、答えそのものではありません。
私自身、収入だけを基準に職場を選んだことはありません。
それでも「知らずに損をする」のはもったいないので、この記事を書きました。
まとめ
- 生涯年収の差を生むのは昇給カーブ・退職金・年金の3つ
- 20代の差は小さい。40代以降で開いていく
- 動物病院は退職金制度がない職場もあるため要確認
- 開業すると原則国民年金になり、老後の受け取りが変わる
- 転職前に退職金・昇給実績・社会保険・40代の年収を確認する
数字を知ったうえで、それでも好きな仕事を選ぶ。
それがいちばん納得のいく選び方だと思っています。
まずは、いま勤めている職場の退職金制度がどうなっているか、就業規則を開いてみるところから始めてみてください。











